交通事故の中でも、自動車と自転車の接触は近年増加傾向にあります。特にショッピングモールや住宅街など、車と自転車が混在する環境では事故が起こりやすく、過失割合や責任の所在が複雑になることも。本記事では、左折中の自動車と右側から来た自転車が衝突したケースをもとに、過失割合や自転車の逆走に関するポイントを解説します。
自転車が歩道の右側を走るのは「逆走」になる?
日本の道路交通法では、歩道を走行する自転車も基本的には左側通行が原則です。歩道の構造上、どちらか一方のみ自転車通行可とされていることが多く、「自転車は左側の歩道のみ走行可」と明示されていれば、右側の歩道走行は逆走とみなされる可能性があります。
今回のように、自転車がスピードを出しながら歩道の右側を走行していた場合、逆走・危険運転の判断が下されることもあり、過失割合に大きく影響します。
自動車側の徐行と注意義務の考え方
左折時における自動車側の義務として、「歩道や自転車の通行者がいる可能性を考慮し、十分な徐行・停止義務」が課されます。たとえ時速5km以下であっても、視認性の悪い状況や自転車が急接近する状況では、事故回避のためのブレーキ操作が期待されます。
しかし、自動車側が停止または極めて低速であることが記録(ドライブレコーダー等)で証明されれば、自転車側の過失が大きく評価されることもあります。
過失割合はどうなる?参考となる判例や基準
一般的に「左折車と直進自転車の事故」では、自転車:自動車 = 20:80が基本ですが、以下のような要因で割合は変動します。
- 自転車が歩道の右側を走っていた(=逆走)
- 高速度で接近していた
- 車側が徐行・確認義務を果たしていた
上記要因が認められた場合、自動車の過失割合は60~70%程度まで減少する可能性があります。ただし、最終的には保険会社同士の協議や示談交渉、必要に応じて裁判所での判断となります。
自転車の危険走行と責任追及の現実
自転車は軽車両に分類され、道路交通法上の義務と責任を持っています。歩道走行中にスピードを出しすぎたり、逆走していた場合、それが証明されれば自転車側の重大な過失とされ、損害賠償請求の対象になることもあります。
近年では自転車事故による加害者側の責任も厳しくなっており、保険加入の義務化も進んでいます。自転車利用者にとっても、安全運転とルールの順守は不可欠です。
事故対応に備えて:記録と証拠の重要性
事故直後の現場写真やドライブレコーダーの映像は、後の過失割合の決定に極めて有効です。目撃者の証言も証拠になりますので、すぐに記録・確保することが大切です。
また、自身の任意保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、交渉や訴訟もスムーズに進めることができます。必ず保険内容を確認しましょう。
まとめ:左折時の事故では「相手の逆走」も過失割合に影響
今回のようなケースでは、自転車の逆走や高速走行といった危険運転があった場合、自動車側の過失が軽減される可能性があります。しかし、自動車にも注意義務があるため、一方的に相手が悪いとは判断されません。
最終的な過失割合は個別の事情により大きく異なるため、事故後は速やかに保険会社に連絡し、必要ならば法律の専門家にも相談して適切な対応を取りましょう。