インターネット上での誹謗中傷は深刻な問題となっており、加害者が未成年、特に小中学生であっても被害者は大きな精神的苦痛を受けることがあります。本記事では、小中学生による誹謗中傷コメントに対し、開示請求や慰謝料請求が可能なのか、また費用面でのリスクについて詳しく解説します。
開示請求は小中学生相手でも可能
誹謗中傷の発信者が未成年であっても、被害者はプロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求を行うことができます。
ただし、発信者が小中学生であることが明らかになった場合、開示請求後の対応(損害賠償請求や謝罪要求など)において、年齢や責任能力の有無が大きく影響します。
慰謝料は取れる?民法上の責任と親の監督義務
日本の民法では、未成年者が責任能力を欠く年齢(一般に12歳未満)であれば、原則として本人に法的責任は問えませんが、親(保護者)に監督義務違反があれば、損害賠償請求は可能です。
例えば、中学生(おおむね13歳以上)の場合、本人が責任能力を有すると判断されることもあり、慰謝料請求が認められるケースもあります。
費用対効果:弁護士費用や裁判費用は高額になることも
開示請求のプロセスでは、発信者情報開示のための仮処分申し立てや訴訟手続きが必要になることが多く、弁護士費用や裁判費用を含めて数十万円以上かかることも珍しくありません。
慰謝料の相場は数万円〜30万円前後となるケースが多く、費用倒れになるリスクも考慮が必要です。
費用を抑える方法と相談窓口
- 法テラス:無料法律相談や弁護士費用の立替制度あり [参照]
- ネットいじめ対策NPO:SNS誹謗中傷対策の情報提供や支援を行う団体あり
- 少額訴訟制度の活用:60万円以下の請求で迅速な対応が可能
実際の裁判例にみる判断基準
過去の判例では、中学生による誹謗中傷コメントに対して、本人と親に連帯して慰謝料の支払いを命じた例もあります。責任能力やコメントの悪質性、繰り返しの有無などが判断材料になります。
ただし、軽率な投稿や初犯であること、謝罪対応などが考慮され、慰謝料の減額や和解となるケースもあります。
まとめ:状況に応じた判断と法的アドバイスがカギ
・開示請求は可能だが、発信者が未成年であると対応に制限がある
・慰謝料請求は責任能力や監督義務違反の有無に左右される
・費用対効果を見極め、弁護士や法テラス等への相談が重要
・感情的にならず、冷静に証拠を集めて対応することが大切
被害者の名誉や権利を守るには、法的手続きを理解し、適切な専門家のサポートを受けることが何よりの近道となります。