交通事故における慰謝料と自賠責保険・任意保険の仕組み|過失割合がある場合の受け取り額とは?

交通事故において被害者が受け取る慰謝料は、自賠責保険と任意保険によって支払われます。過失割合がある場合、その影響は慰謝料の一部に及ぶ可能性がありますが、自賠責保険には一定のルールがあります。本記事では、被害者側に過失がある場合の自賠責保険の支払いルール、任意保険との関係、後遺障害認定と部位数による慰謝料の違いなどについて詳しく解説します。

自賠責保険は過失割合に関係なく満額支給される

原則として、自賠責保険から支払われる慰謝料は、過失割合に関係なく全額支給されます。たとえば、被害者に2割の過失がある場合でも、自賠責保険の範囲内(最大120万円)であれば100%補償されます

例えば、損害が110万円であれば、120万円の枠内なので自賠責から110万円全額が支払われます。

120万円を超えた損害額は任意保険で補填される

自賠責保険の限度額を超えた分は、任意保険からの支払い対象になりますが、ここで初めて過失相殺が適用されます。

例えば、損害が130万円で被害者に2割の過失がある場合。

  • 自賠責保険:120万円(満額)
  • 残り10万円 × 80%(加害者の過失) = 8万円(任意保険から支払い)

したがって、合計受取額は128万円になります。

後遺障害が認定された場合の支給額と枠の扱い

後遺障害の等級が認定されると、自賠責保険からの支払い限度額は等級に応じて変わります。例えば。

  • 14級:75万円
  • 12級:94万円
  • 11級:136万円
  • 1級:最大4,000万円

この後遺障害慰謝料は、通常の120万円の枠とは別枠で考えられることもありますので、国交省などの公式資料を参考にするのがおすすめです。

怪我の部位が多い場合は慰謝料が増えるのか?

基本的に部位の多さ=慰謝料の増加という単純な計算はされませんが、通院日数や治療の期間が長くなれば、それに応じて慰謝料の金額も増える傾向があります。

例えば、複数部位を負傷した結果、治療期間が3か月以上に及んだ場合、慰謝料の相場は以下のようになります。

  • 1ヶ月:26万円前後
  • 3ヶ月:53万円前後
  • 6ヶ月:89万円前後

したがって、複数部位の怪我が長引く場合、結果的に慰謝料が高額になる可能性があるということです。

示談交渉時の注意点と対処法

加害者の保険会社から提示された慰謝料が低すぎると感じた場合は、以下の手段で対処できます。

  • 弁護士に依頼:弁護士基準で交渉でき、慰謝料が大幅に増えることもあります。
  • 交通事故専門の相談窓口:自治体や法テラスなどの無料相談を利用する。
  • 医師の診断書や通院記録の確保:交渉の裏付け資料として極めて重要です。

特に後遺障害等級認定には、専門知識が必要なため、経験豊富な弁護士の同席が有利に働きます

まとめ:自賠責の仕組みと交渉戦略を知っておくことがカギ

被害者に過失がある交通事故でも、自賠責保険は120万円までは過失割合に関係なく全額支給されます。これを超える部分についてのみ任意保険で補填され、過失割合が影響します。

後遺障害がある場合は、さらに高額な支払いが認められることもあるため、正確な診断と適切な交渉が極めて重要です。慰謝料の増額を目指すなら、弁護士特約の利用を含め、法的支援を受ける準備を進めておくことをおすすめします。

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