古物営業法に基づく台帳記載義務は、古物商が適正な取引を行い、不正な流通を防止するために設けられています。中でも「税込1万円以上の取引」には特に注意が必要です。本記事では、複数商品を同時に仕入れた場合の扱いを中心に、古物商の台帳記載義務について詳しく解説します。
古物営業法における台帳記載の基本ルール
古物商は、個人や法人から古物を仕入れる際に、その取引金額が「税込み1万円以上」である場合には、古物台帳(または電子データ)に記録する義務があります。これには商品の種類、数量、仕入先情報、金額、日付などが含まれます。
このルールは、不正取得物の流通を防止し、万が一の捜査時にも迅速な対応ができるようにするために定められています。
複数商品を同一人物から購入した場合の扱い
複数の古物を同じ個人・法人から、同一の取引(同時購入)として行った場合は、金額を合算して記載の判断を行います。つまり、たとえ一つひとつの商品が1万円未満でも、同時に購入して合計が1万円を超える場合は記載義務が発生します。
たとえば、A商品が税込6,000円、B商品が税込7,000円で、同一出品者から同じタイミングで購入・同梱された場合、合計13,000円となり台帳への記載が必要となります。
発送が別々の場合でも「同一取引」なら記載対象に
「別々に送ってもらえば記載しなくてよいのでは?」という考えは誤解を招く可能性があります。たとえ発送が分かれていても、注文・支払いが同時に行われた場合には、法的には「一取引」として扱われ、合算金額で1万円を超えるなら台帳記載の義務が生じます。
発送方法や受け取りのタイミングにかかわらず、実質的な取引の内容と時点が判断基準となる点に注意が必要です。
分割取引は合法的な回避方法になるのか?
意図的に記載義務を避ける目的で、取引を日を分けたり、分割支払いを申し出ることはありますが、こうした行為が継続的・組織的に行われている場合には「脱法的」とみなされるリスクがあります。
正直な商いを行うことが信用の構築にもつながります。記載が必要な場合は、面倒に感じてもきちんと台帳に記載することが大切です。
フリマサイトやネットオークションでの実例
フリマアプリで複数の出品物を一括購入するケースや、ネットオークションで複数落札して一括決済するケースでは、合算して1万円を超えた場合は記載義務があります。
たとえば「メルカリで同じユーザーから2品同時購入」「ヤフオクで同一出品者から複数同梱発送」といった取引では、合算額で判断されます。
まとめ:記載義務は「形式」より「実質」で判断される
古物台帳の記載義務においては、「1万円以上かどうか」は単品の価格ではなく、同一取引の総額が基準です。発送や支払いが分かれていても、取引が同時に成立していれば、合算して記載の必要があります。
不正防止やトラブル対応の観点からも、正確な記録を行うことが古物商としての信頼と健全な営業に繋がります。