自転車と自動車の事故で軽傷を負った場合、「物損事故のままにするか」「人身事故へ切り替えるか」は非常に悩ましい判断です。特に信号無視などで自転車側にも過失があると、どのような影響があるのか不安になります。今回は、物損と人身の違い、治療費の取り扱い、警察対応、罰則の有無などについてわかりやすく解説します。
物損事故と人身事故の違いとは?
交通事故は主に「物損事故」と「人身事故」に分類されます。物損事故は「人にケガがない(診断書が提出されない)」ケースで処理され、人身事故は「ケガを伴い、診断書を警察へ提出」することで扱いが変わります。
人身事故にすると警察の調書や実況見分が行われ、加害者側には道路交通法違反による罰則が科される可能性が出てきます。自転車側に非がある場合も同様に責任を問われる可能性があります。
信号無視があった場合の罰則と影響
事故の原因が双方にある場合(たとえば、車・自転車ともに信号無視など)、自転車側にも過失が認定される可能性があります。その際、人身事故扱いにすると次のようなリスクがあります。
- 交通反則通告制度の対象(罰金または反則金)
- 自転車安全講習の受講命令(一定条件下で)
- 裁判での損害賠償割合に影響
ただし、必ず罰則があるとは限りません。事故の状況や警察の判断によって、指導や口頭注意で済むケースもあります。
物損事故のままだと治療費は請求できない?
物損事故扱いでは、相手側の自動車保険(対人賠償)を使うことができません。そのため、加害者の任意保険から治療費が支払われない可能性があります。
自賠責保険は人身事故でしか適用されないため、整形外科に通いたい場合は人身事故への切り替えが現実的です。ただし、相手の任意保険会社が柔軟な場合、物損でも支払い対応することもあります。保険会社へ事前に確認を取ることをおすすめします。
人身事故へ切り替えるための手続き
事故後でも一定期間内であれば、物損事故から人身事故へ切り替えることが可能です。必要なのは以下のステップです。
- 病院で診断書を取得する(発行日から10日以内が望ましい)
- 警察署へ提出し、人身事故扱いへ変更
- 実況見分が必要になることもある
切り替え期限は原則事故発生日から1週間以内が望ましいとされていますが、医師の診断があれば後日でも受け付けられることがあります。
加害者との話し合いと保険会社の対応
人身事故にすると、加害者側(自動車)の保険会社が窓口になり、治療費・通院交通費・慰謝料などが支払われることがあります。ただし、過失割合によって減額される可能性があります。
信号無視が双方にあった場合は、過失割合が50:50や60:40などになることが想定され、保険金の支払いもその割合に応じて計算されることになります。
自分にも罰則があるときの判断基準
人身事故に切り替えるかどうかは、「治療費を自費でまかなえるか」、「今後も症状が残りそうか」などを考慮して判断しましょう。
罰則がある場合も行政処分や反則金で済むことが多く、重大な前科となることはほとんどありません。ただし、精神的負担や記録に残ることを避けたい場合は、物損のまま進めるのも一つの選択です。
まとめ:治療を優先するなら人身事故への切り替えも選択肢
信号無視の事故で自転車側にも過失がある場合、人身事故に切り替えることで罰則のリスクはありますが、通院費や慰謝料などを保険でカバーできる可能性が広がります。
まずは診断書を取得し、保険会社と警察へ相談のうえ、切り替えの可否やリスクを把握しましょう。体調が第一なので、治療費を優先した判断を心がけてください。