公共交通機関でのカスハラ(カスタマーハラスメント)は公務執行妨害に該当する?法律と現場対応のリアル

近年、駅係員やバス運転士など公共交通機関の職員に対する過度なクレームや土下座の強要といった「カスハラ(カスタマーハラスメント)」が問題視されています。特に都営地下鉄や都営バスのように自治体が運営する交通機関においては、職員が公務員に準ずる立場となる場合もあり、そのような行為が法的にどのように扱われるかを正しく理解しておくことが重要です。

カスハラ行為の定義と例

カスハラとは、顧客がサービス提供者に対して不当な要求や暴言、暴力、人格否定などを行う迷惑行為のことです。具体的には以下のような行為が該当します。

  • 土下座の強要
  • 繰り返しの罵倒・威圧的な態度
  • 不合理な返金・補償要求
  • 身体的接触や威嚇的な行動

こうした行為は職員の心身に大きな負担を与えるだけでなく、公共の安全性にも影響を及ぼします。

都営交通職員と「公務執行妨害」の適用可能性

都営地下鉄や都営バスの職員は、東京都交通局が雇用する地方公務員、またはそれに準ずる委託職員として働いている場合が多くあります。そのため、彼らに対して暴力や威嚇行為を行うと「公務執行妨害罪」が成立する可能性があります。

刑法第95条では、「公務員がその職務を執行するに当たり、これに対し暴行又は脅迫を加えた者は、公務執行妨害罪として3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金に処される」と定められています。

土下座の強要や暴言は罪になる?

土下座を強要する行為は、威力業務妨害罪や強要罪、名誉毀損罪に該当する可能性があります。実際に土下座を求めた映像をSNSで拡散させた場合は、名誉毀損や侮辱罪にまで発展することも。

また、言葉による脅迫や繰り返しの罵倒についても、刑法上の「脅迫罪」や「強要罪」が適用されることがあります。

警察が介入するのはどんなケースか

都営地下鉄やバス内でのカスハラ行為がエスカレートし、職員や他の乗客の安全を脅かすと判断された場合、警察が出動し、加害者が現行犯逮捕されることもあります。

例えば、バスの運転士に暴言を浴びせ続け、業務を中断させた場合などは、「威力業務妨害罪」が成立する可能性が高く、警察も迅速に動きます。

カスハラに対する実際の対応策

東京都交通局では、カスハラ対策として職員の安全教育やボディカメラの導入、警察との連携強化などを進めています。また、被害届が出された場合は法的措置を含めた対応も取られています。

[参照] 東京都交通局:職員に対するハラスメント防止策について

まとめ:カスハラ行為は刑事罰の対象になることも

公共交通機関におけるカスハラ行為は、単なる迷惑行為にとどまらず、刑法上の罪に問われる重大な問題です。特に公的な交通機関では、職員が「公務員」として法的に保護される場合があるため、行き過ぎた言動は「公務執行妨害罪」などで処罰されることがあります。

利用者としては、感情的にならず冷静に対応し、誠実なコミュニケーションを心がけることが大切です。

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