人間ドックや入院中に病院の備え付けテレビを使用すると、まれに「NHKとの受信契約をお願いします」といったメッセージが表示されることがあります。この現象は受信料不払いが原因なのでしょうか?大学病院を含む医療機関とNHKの受信契約について、制度的な背景と実例を交えながら解説します。
受信契約とは?基本の制度を理解しよう
日本の放送法では、テレビ放送を受信できる設備を設置した場合、NHKと受信契約を結ぶ義務があります。これは個人宅に限らず、ホテル、病院、事務所、事業所などの法人施設も対象となります。
つまり、病院内に設置されたテレビについても、NHKとの契約が必要とされるのが原則です。ただし、設置方法や利用形態によって例外的な取り扱いがされることもあります。
なぜ「受信契約してください」の表示が出るのか
テレビにそのような表示が出るのは、NHKが受信契約の確認を求める信号をテレビに送っており、それに反応して表示されるためです。契約済みのテレビには、NHKとの契約情報が登録されたB-CASカードが挿入されており、表示は出ません。
表示が出る場合、以下のいずれかの理由が考えられます。
- 病院側がテレビにB-CASカードを登録していない
- 契約はあるが未登録のカードを使用している
- 病院側で費用削減のためNHK契約を一部のテレビで行っていない
大学病院など公的施設でも、施設全体で一括契約されていないケースがあり、特にテレビ貸出式の病室では患者側に契約を委ねている場合もあります。
医療機関のテレビ受信料の扱いはどうなっている?
病院の病室テレビには2つの方式があります。
- 無料式:病院が受信料を一括負担して契約、表示は出ない
- プリペイド式(有料式):患者がテレビカードを購入して利用、受信契約を病院がしていないこともあり、表示が出る
大学病院のような大規模施設では、契約の手間や費用の観点から、病棟ごとに契約の有無が異なることもあります。NHK側も法人契約の回収に積極的なため、現場での対応に差が出やすくなっています。
受信契約がない=違法なのか?
受信契約の義務は放送法第64条に定められており、原則として違反すれば契約義務違反に問われることがあります。しかし、現時点で法人や病院に対して強制的な罰則や刑罰はなく、NHKと話し合いで処理されるケースがほとんどです。
とはいえ、NHKが病院に対して過去の未契約期間の契約料を請求した実例もあり、全く問題がないとは言い切れません。
もし患者として表示に遭遇したら
入院中にテレビに「受信契約をしてください」と出た場合、自分で何か対応する必要は基本的にありません。テレビ設置者=病院側の責任になるからです。
ただし、テレビカードを購入して利用する方式の病院では、受信料相当がテレビ利用料に含まれていることもあり、その料金体系について疑問がある場合は病院窓口に確認するのが良いでしょう。
まとめ:契約の責任は病院側、患者が気にする必要はなし
テレビにNHKの受信契約表示が出るのは、契約情報が未登録の状態に起因するものですが、基本的にその責任は病院側にあります。患者が気にする必要はなく、あくまでも施設の管理体制に関わる事項です。
表示に不安を感じた場合でも、慌てず病院スタッフに確認を取り、必要以上に心配しないようにしましょう。