当て逃げとひき逃げの違いと警察対応:ドラレコ映像がある場合の実際の対処法

交通事故の被害者となった際に、加害者がその場から逃走した場合、「当て逃げ」または「ひき逃げ」という言葉が使われます。これらの区別や警察の対応方針は、事故の被害状況によって大きく異なります。

当て逃げとひき逃げの違い

「当て逃げ」とは、車両のみの損傷(物損事故)を発生させた後に加害者がそのまま現場を離れる行為です。一方、「ひき逃げ」は、人身事故(人に怪我や死亡などの被害を与えた場合)で、適切な救護や通報をせずに逃走する行為を指します。

法律上の扱いとして、当て逃げは道路交通法違反(報告義務違反など)に該当し、行政処分が中心です。ひき逃げは、これに加えて刑法上の「救護義務違反」が適用され、より厳しく処罰されます。

ドラレコ映像があっても警察は動かない?

物損事故のみで被害者に怪我がない場合、ドライブレコーダーに相手のナンバープレートが映っていたとしても、警察が積極的に捜査するケースは限定的です。理由は、物損事故が民事上の問題であり、刑事事件としての重大性が低いと判断されるからです。

一方で、被害者に怪我があり、人身事故扱いとなった場合には、刑事事件となり、警察は加害者の特定・検挙に力を入れる傾向にあります。特に重傷を負ったケースでは、実況見分や防犯カメラの解析なども行われます。

ドライブレコーダーの証拠力

ドライブレコーダーは事故の状況を客観的に記録する重要な証拠となります。相手車両のナンバー、逃走方向、衝突の瞬間などが明確に映っていれば、加害者の特定につながる可能性は高まります。

しかし、映像だけで加害者の責任が法的に確定するわけではなく、警察や保険会社の判断を補強する材料のひとつとして扱われます。加害者が否認している場合には、被害者側が映像とともに詳細な状況を説明する必要があります。

被害届と人身事故届の違い

物損事故の場合、警察に届け出ても「事故証明書」しか発行されず、被害届を出しても捜査対象外となることがあります。しかし、人身事故として届け出た場合は、刑事事件として処理されるため、捜査や加害者特定が行われます。

よって、軽い打撲や精神的ショックなどがある場合も、病院で診断書を受け取り、人身事故として届け出ることが加害者追及の第一歩となります。

実際の対応例とアドバイス

実際に当て逃げされたある被害者は、軽い首の痛みがあり、病院を受診して診断書を取得。警察に人身事故として届けたことで、ナンバーから加害車両の所有者が特定され、後日書類送検に至ったという例があります。

反対に、物損事故のみと処理してしまったケースでは、警察から「保険会社と話して」と言われ、加害者不明のまま泣き寝入りとなった例も見受けられます。

まとめ:警察に真剣に動いてもらうために

加害者に対して警察の捜査を期待する場合には、人身事故として届け出ることが極めて重要です。そのためにも、怪我の有無を正しく把握し、病院で診断書を取得しておくことが有効です。ドライブレコーダーの映像や現場写真、目撃者の証言なども合わせて準備し、適切な届け出を行いましょう。

また、当て逃げやひき逃げに対応する保険(車両保険や弁護士費用特約など)に加入しておくことで、経済的・法的な支援を受けられる場合もあります。トラブル発生前の備えとしても検討しておくと安心です。

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