離婚や親権、財産分与などをめぐる家庭裁判所での調停では、弁護士と依頼者が同じ方向を向いていなければ、納得のいく結果は得られません。とくに証拠提出に関する判断や交渉方針において意見が食い違う場合、依頼者としてどう行動すべきか悩むことも多いでしょう。本記事では、弁護士との認識のズレが起きる理由や、その対処法について解説します。
弁護士が証拠提出を控える理由とは?
調停において弁護士があえて証拠を提出しないケースは、戦略的な意図がある場合があります。例えば、交渉の段階で相手に強いカードを見せずに、あくまで話し合いでの解決を図る戦略を取っている可能性があります。
また、調停はあくまで話し合いの場であり、訴訟と違って証拠の提出義務がないため、証拠提出は慎重に判断されることもあります。とはいえ、それが依頼者の希望に反していれば信頼関係が揺らぐ原因になります。
依頼者の意思が尊重されない場合はどうする?
弁護士は専門知識をもとに最善と思われる方針を提案しますが、最終的な判断権は依頼者にあります。弁護士が依頼者の意向を無視して一方的に進めようとするのは、適切とは言えません。
まずは話し合いの場を設け、自分の希望や懸念を明確に伝えることが大切です。それでも改善されない場合は、セカンドオピニオンとして別の弁護士に相談するのも一つの方法です。
調停での証拠提出のタイミングと注意点
調停では、証拠が必要になるタイミングは主に次のような場面です。
- 相手が虚偽の主張をしている場合
- 財産やDVなど、事実確認が必要な場合
- 調停委員や相手方に誤解されていると感じる場合
ただし、証拠提出が逆効果になることもあります。たとえば、関係が悪化して話し合いが打ち切られたり、訴訟に発展したりする可能性もあります。証拠は交渉カードとして使うか、調停で出すかを戦略的に見極める必要があります。
自分の意思を伝えるための具体的な行動
弁護士との関係で悩んでいる場合は、以下のようなアクションが有効です。
- 弁護士に文書で希望を伝える(証拠にもなる)
- 事務所の担当窓口に相談する(場合により弁護士交代も)
- 法テラスや弁護士会の無料相談で第三者に意見を求める
弁護士は依頼者の代理人であり、あなたの意思を反映する義務があります。「先生に任せておけばいい」と思いすぎず、主体的に関与することが納得のいく調停結果につながります。
まとめ|弁護士との対話が調停成功の鍵
調停では、弁護士の判断と依頼者の希望がずれることもあります。特に証拠提出の有無や交渉の落とし所について意見が食い違う場合は、きちんと対話を重ねることが重要です。
不安や疑問をそのままにせず、自分の考えを明確に伝えることで、よりよい方針転換や対応が可能になります。必要に応じて、他の弁護士の意見を聞くことで、自分にとって最善の判断ができるようになります。