高齢者介護施設において、入所費用の支払いに関するトラブルは意外に多く、その中でも「領収書を発行しない」という問題は非常に重大です。この記事では、領収書を拒む施設の問題点とその背景、また実際に体験したことを公にする際の名誉毀損との関係について詳しく解説します。
領収書を発行しないのは違法?
日本の民法では、金銭の授受があった場合、債務の弁済者(=お金を支払った側)が請求すれば、受け取った側は「領収書」を交付する義務があります(民法第486条)。したがって、「出していないから出さない」という対応は法的に無効であり、明確に違法行為となる可能性があります。
介護施設での入居一時金や家賃などは高額になりやすく、領収書の有無はトラブル時の証明資料としても極めて重要です。施設側の「慣例」では済まされません。
なぜ領収書を出したがらないのか?
通常の事業者であれば、領収書の発行は当然行いますが、以下のような理由で拒む場合もあります。
- 税務上の不正処理:現金収入を申告せず、所得隠しを行っている疑い
- 契約や料金体系に不明瞭な点があり、証拠を残したくない
- そもそも書面発行の業務体制が整っていないなどのずさんな運営
いずれにしても、利用者に不利益となる可能性が高く、早急に対応が必要な状態です。
対応策:どこに相談すればよいか?
領収書の不発行などの対応に困った場合、次のような機関に相談すると具体的な指導や調査が行われます。
- 国民生活センター(消費生活センター)
- 自治体の高齢者福祉・介護保険課
- 地域包括支援センター
- 場合によっては、税務署や弁護士会へも相談可能
施設が行政指導を受けることになれば、運営改善のきっかけにもなります。
名誉毀損や誹謗中傷になる可能性は?
実際にあった事実であっても、それを公にすることで名誉毀損とされる可能性はあります。ポイントは次の3点です。
- 「公共性」があること(公益目的)
- 「事実」であること(虚偽でない)
- 「公益性」が上回ると社会的に判断されること
例として、「領収書を出してもらえなかった」と冷静な事実の記述であれば、名誉毀損にあたる可能性は低く、逆にSNSなどで罵倒的な表現を用いた場合は問題となりやすいです。
退去や契約解除も選択肢に
高齢者が安心して生活できる環境を選ぶことは家族にとって最重要の責務です。もし運営姿勢に納得がいかないのであれば、「母が慣れた」という事情と並行して、今後のトラブルリスクも含めて慎重に再考する価値があります。
契約書の内容によっては、解約時に違約金がかからないケースや、返金が発生する場合もあるため、弁護士への無料相談なども活用しましょう。
まとめ:冷静な対処と記録がトラブル解決の鍵
介護施設に関するお金のやりとりでトラブルが発生した際は、領収書の請求は当然の権利であり、これを拒む施設は大きなコンプライアンス違反を犯している可能性があります。
事実を記録に残し、必要に応じて消費者センターや自治体、法律の専門家の力を借りることで、適切な対応が取れるはずです。