突然、自分の知らない親族の訃報が区役所から届き、火葬費用の支払いを求められたら、誰しも驚き戸惑うことでしょう。詐欺が横行する現代において、正しい対応を取るには、実際に起こり得る事例であるのか、またその対処法を事前に理解しておくことが重要です。本記事では、自治体からの通知の信ぴょう性、想定される法的背景、実際の対応方法まで詳しく解説します。
知らない親族の訃報通知が届くのは本当にある?
結論から言うと、これは「実際にあり得ること」です。民法では親族間に一定の扶助義務が存在し、遺体の引き取りや火葬費用の負担が求められる可能性があります。自治体は、無縁仏として処理する前に、戸籍上の親族に連絡を取る義務があるため、住民票や戸籍のつながりを辿って通知を送ることがあります。
特に「叔父」など3親等以内の親族の場合、たとえ面識がなかったとしても、役所側がその人物を「親族」として把握していれば通知対象となるのです。
詐欺との見分け方:信頼できる通知かどうかの確認ポイント
詐欺と正当な通知を見分けるためには、まず「送付元の確認」が重要です。封筒に記載された区役所名、住所、連絡先が公式のものであるかを自治体のホームページなどで照合しましょう。
電話番号が微妙に異なっている場合には、区役所の代表番号にかけ直し、「このような通知が届いたが、本物かどうか確認したい」と伝えましょう。公的機関はこのような問い合わせに丁寧に応じてくれます。
火葬費用145,000円の支払いは義務なのか?
自治体が火葬費用を請求する場合、原則として「費用負担義務のある親族」に請求されます。しかし、この義務は必ずしも法的強制力を伴うわけではなく、拒否する(=負担しない)ことも可能です。
ただし、費用を負担した場合、その後に発生する可能性のある相続問題(たとえば借金など)にも巻き込まれるリスクがあるため、慎重に判断する必要があります。費用の支払いをする前に「相続放棄」も視野に入れて対応しましょう。
相続放棄を検討すべきケースとは?
全く面識がなく、被相続人(亡くなった親族)の財産状況が分からない場合、安易に費用を支払うことはおすすめできません。相続を受けると、その人の財産だけでなく「借金」などの債務も引き継ぐ可能性があるからです。
そのため、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行うことで、法的に一切の責任を免れることができます。相続放棄は原則、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に行う必要があるため、速やかな対応が求められます。
実際にあった似たような事例
実際、SNSや相談サイトでは「知らない親戚の遺骨引き取りや火葬費用請求」に関する投稿が多数見られます。例えば「面識のない祖父の弟が亡くなり、福祉課から火葬費用の支払い要請が届いた」「遠縁の親戚の葬儀費用を負担するよう通知が来た」など、法的には珍しくない事例とされています。
中には役所に問い合わせて本物と判明した上で、家庭裁判所に相続放棄を申請したケースも報告されています。
まとめ:まずは冷静に事実確認し、法的手続きを検討しよう
知らない親族の死亡通知が突然届いた場合、まずは「本物かどうかの確認」が第一です。区役所の正規窓口に連絡を取り、詳細を確認しましょう。そのうえで、支払いの義務の有無、相続放棄の必要性を判断します。
無理に応じず、法的な確認や専門家への相談(弁護士など)も検討することが、最も安心で確実な対応方法です。