美容業界では、無断キャンセルや当日キャンセルによる損失を防ぐためにキャンセルポリシーを設けるサロンが増えています。しかし、その内容や通知のタイミングによっては、キャンセル料の請求が無効となるケースもあるため注意が必要です。
キャンセルポリシーの法的効力は「事前通知」が前提
キャンセル料を利用者に請求するためには、予約時点でその条件が明確に説明されていたことが法的に求められます。たとえば、ホームページや予約フォームに記載されていたり、事前に同意を得た証拠がある場合には、キャンセル料請求に正当性が生じます。
一方で、予約成立後に一方的にLINEなどで通知された場合、ユーザーの合意がない限り、その条件は法的拘束力を持ちません。つまり、そのキャンセルポリシーには従う義務がないと考えられます。
契約成立のタイミングと合意内容の明確化
予約が成立した時点でのやり取りが非常に重要です。特にLINEやメールなどのメッセージ履歴は証拠として有効となるため、後から条件が送られてきた場合、その前のやりとりが「契約条件」として扱われる可能性が高いです。
今回のように「予約完了後にキャンセル料100%の通知が来た」という状況では、キャンセルポリシーは予約契約の一部とはみなされない可能性があり、キャンセル料の支払い義務は否定される余地があります。
消費者契約法における不当条項の考え方
消費者契約法第10条では、「消費者の利益を一方的に害する条項」は無効とされています。特に「予約後すぐにキャンセルしたにもかかわらず、100%の料金を請求する」ことは、著しく不当な損害賠償の約束とみなされる可能性があるため、法的には無効と主張する余地があります。
また、予約からキャンセルまでが数時間以内であり、施術準備などに実害がなかった場合は、実際の損害が発生していないと判断されやすくなります。
キャンセル料を請求された場合の対応方法
仮にキャンセル料の請求が来たとしても、即座に支払わず、文面で丁寧に状況を説明することが重要です。以下のようなポイントを含めて返信するのがよいでしょう。
- 予約時点ではキャンセルポリシーの提示がなかったこと
- その後の一方的通知には同意していないこと
- 消費者契約法上の不当条項にあたる可能性があること
このような対応でも解決しない場合は、各地域の消費生活センターに相談することで、無料で助言や仲介を受けることが可能です。公式サイト:https://www.kokusen.go.jp/map/
まとめ:予約後のキャンセル料請求には合意の有無が鍵
メイクサロンなどサービス業のキャンセル料は、予約前に明確な説明と合意があったかが法的な有効性を左右します。今回のケースのように、予約後に条件が提示された場合、そのキャンセル料に支払義務はない可能性が高いといえるでしょう。
万が一請求されたとしても、まずは冷静に対応し、合意の事実がないことを主張する姿勢が大切です。不安なときは消費生活センターなど公的機関に相談するのが安心です。