もしも殺人罪や殺人未遂罪が適用された場合、どのような刑罰が科されるのでしょうか。実際の事件では判例や情状によって量刑が大きく異なるため、刑法に基づく基本的な考え方を解説します。
殺人罪が適用された場合の法定刑
日本の刑法第199条では、殺人罪について次のように規定されています。
「人を殺した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する」
つまり殺人罪に問われた場合は、最低でも懲役5年、重ければ無期懲役または死刑になる可能性があります。
殺人未遂罪の量刑と特徴
殺人未遂罪は、殺人の意思をもって行動したが、相手が死ななかった場合に適用されます。刑法第203条により、殺人未遂も殺人罪と同じ刑が科される可能性があるとされており、法定刑は殺人罪と同様です。
ただし、実際の量刑は成功していない点(結果不発)や加害者の反省の有無などが加味され、多くの事例で懲役6年〜15年程度に収まることが多いです。
無期懲役とは?執行猶予の有無と仮釈放
無期懲役は、読んで字のごとく「期限のない懲役」です。刑法では20年経過後に仮釈放の可能性がありますが、現実には30年以上服役する例も珍しくなく、仮釈放が認められないケースもあります。
また、殺人や重大犯罪では執行猶予は通常つかないため、収監される可能性が高くなります。
道路交通法違反と重大犯罪との区別
交通事故で人が亡くなった場合、「過失致死」となり、刑法208条の2により懲役7年以下と比較的軽い刑となりますが、意図的に人を轢いた、あるいは殺意が認定されれば殺人罪が適用され、懲役刑の幅は一気に重くなります。
この判断は加害者の供述や防犯カメラ映像、目撃証言などから裁判所が判断します。
過去の実例から見る懲役年数の傾向
- 殺人罪(情状酌量なし):無期懲役~死刑
- 殺人罪(情状あり):懲役15年~25年
- 殺人未遂(初犯・反省あり):懲役6~10年
- 殺人未遂(計画性・再犯):懲役15年前後
実際には家庭事情・被害者との和解・示談成立などが大きく量刑に影響します。
まとめ
✔︎ 殺人罪が適用されれば死刑・無期懲役・5年以上の懲役が科されます。
✔︎ 殺人未遂でも殺意が認定されれば、実際の刑期は6~20年が一般的。
✔︎ 量刑は行為の悪質性、動機、前科の有無などによって大きく変動します。
刑法は非常に厳格ですが、現実の判決では人間的な事情も勘案されるため、法律の条文だけでは断定できない部分も多いのが実情です。