交通事故は誰にとっても突然の出来事であり、その後の流れに不安を感じる方は少なくありません。特に物損事故から人身事故に切り替わった場合、「罰金が科されるのか?」という点は大きな関心事です。今回は、事故後に罰金が科される可能性がある具体的なケースと、今後どのように対応すべきかについて解説します。
物損事故から人身事故に切り替わるとはどういうことか
交通事故の当初、相手に怪我がないと判断され物損事故として処理された場合でも、後から相手が痛みを訴えたり病院に通院するようになったりすると「人身事故」として再処理されることがあります。この切り替えは、主に被害者の申告と診断書の提出によって警察が判断します。
人身事故に切り替わると、事故の重みが増し、行政処分や刑事罰が検討される対象になります。したがって、被害者の通院状況や医師の診断内容が、今後の処分の判断材料となります。
罰金が発生するケースとその基準
交通事故において罰金が科されるかどうかは、加害者側の違反の程度と被害者の傷害の程度によって決まります。一般的には以下のようなケースで罰金が発生する可能性があります。
- 過失割合が高く、重大な交通違反(信号無視、安全確認義務違反など)があった
- 被害者が通院しており、診断書で「全治○日」と明記されている
- 警察によって「送検」の判断がなされた場合
例えば、全治2週間以内の軽微な怪我であれば、略式起訴によって10万〜20万円程度の罰金で済むことが多いですが、症状固定が長引いたり、後遺症の疑いがある場合は刑事裁判に発展する可能性もゼロではありません。
事故後に取るべき適切な対応とは
警察からの呼び出しがあった場合は、誠実に対応し、事故の詳細を正確に説明することが重要です。また、相手側の治療状況や保険会社とのやりとりについても整理しておきましょう。弁護士に相談することで、処分が軽減されたり、不起訴処分となる可能性もあります。
また、加害者側でも自分の過失を認め、真摯な謝罪と補償を進めていることは、今後の処分に対してプラスの評価につながることがあります。
行政処分と刑事処分の違い
交通事故に関しては、「行政処分(免許点数・停止など)」と「刑事処分(罰金や懲役)」が別々に進行します。例えば、全治15日未満の軽傷事故では、行政処分で1〜3点の加点、刑事処分としては罰金10万〜20万円が科されることが一般的です。
一方、けがの程度や過失の大きさが重ければ、前科がつくような有罪判決となる可能性もあります。したがって、早期の法的アドバイスが重要です。
罰金や処分を回避できる可能性
警察の判断により「過失はあるが重大性は低い」とされれば、送致が見送られ、不起訴になることもあります。被害者が納得しており、補償や示談が成立している場合はその可能性が高くなります。
また、保険会社を通じてスムーズな示談を進めることは、加害者にとってのリスク回避にもつながります。示談書には明確な合意内容を記載し、相手が納得している証拠を残すことが大切です。
まとめ:焦らず正しい手順で対応することが重要
物損事故から人身事故に切り替わった場合でも、すぐに罰金や有罪になるとは限りません。警察からの事情聴取に誠実に応じ、保険対応や示談を丁寧に進めることが、今後の処分を軽減する鍵となります。可能であれば早めに交通事故に詳しい弁護士に相談し、安心して対応できる体制を整えておきましょう。