人身事故での骨折と診断書の全治期間に関する真実|行政処分や保険との関係も解説

交通事故や人身事故による負傷のうち、骨折を伴うケースでは、加害者への行政処分や損害賠償請求に大きく関わるのが医師による診断書です。中でも「全治○日」という記載内容には、実は医療的な意味以上の判断が含まれていることがあります。

診断書の「全治日数」とは何を意味するのか

診断書に書かれる「全治○日」は、単純に「完治するまでの期間」という意味ではありません。これはあくまで医師が見立てた「安静を要する期間」または「日常生活に支障をきたす可能性がある期間」として記載されるものです。

そのため、たとえば骨折した部位によっては実際に治癒に数ヶ月を要する場合でも、診断書には「全治2週間」や「全治3週間」など比較的短い期間が記載されることが珍しくありません。

行政処分に影響を与える日数の基準

警察が加害者の行政処分を決定する際には、診断書に記載された「全治日数」が重要な基準になります。以下のような基準が存在します。

  • 全治15日未満:軽傷事故として扱われ、点数加算が軽い
  • 全治15日以上30日未満:中程度の処分対象
  • 全治30日以上:重傷事故として処分が重くなる

これにより、病院側が「軽傷」と判断する際には、行政処分が重くならないようにと意図して、日数を抑え気味に書く傾向があるとされます。

骨折=全治3ヶ月とは限らない理由

骨折という診断名から「全治3ヶ月以上だろう」と一般的には思われがちですが、医師は医学的に完治まで3ヶ月かかると分かっていても、あくまで「生活に支障がないレベルまでの期間」をもって全治とすることがあります。

また、診断書は警察や保険会社へ提出する「対外的文書」となるため、医師側が慎重に記載する場合が多く、むしろ実際より控えめな日数になるケースが見受けられます。

損害賠償や保険請求に影響はある?

保険会社が損害賠償の算定を行う際にも、全治日数を一つの目安にします。ただし、診断書の日数だけで判断するわけではなく、レントゲン画像や治療実績、リハビリの期間などを総合して検討されます。

そのため、「診断書が短いから慰謝料が減るのでは」と心配される方もいますが、実際には治療実績と症状の継続性などが重視されます。

実際の事例と医師の対応

ある被害者のケースでは、鎖骨の骨折により通院3ヶ月を要したにもかかわらず、初回診断書には「全治21日」と記載されていました。しかし、保険請求や示談交渉では、実際の通院日数・内容をもとに補償額が決定され、適切な賠償が行われました。

また、再診時に医師に依頼して「経過診断書」や「加療を要する期間」として修正された文書を発行してもらうことも可能です。

まとめ:診断書の日数はあくまで目安、実態と異なることもある

診断書の「全治日数」は必ずしも実際の治癒期間とは一致せず、行政処分や保険の仕組みとの関係で、短めに記載される傾向があります。しかし、損害賠償や補償においては診断書だけでなく、治療内容や通院実績も重視されるため、過度に不安になる必要はありません。

もし記載内容に疑問がある場合は、主治医に相談の上、補足診断書や経過診断書の作成をお願いするのが良いでしょう。

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