交差点や店舗駐車場で左折しようとした際に、バイクと接触してしまう事故は決して珍しくありません。特に、左側をすり抜けるように走ってきたバイクとの衝突では、過失割合や損害額の認定でトラブルになりやすい傾向があります。本記事では、ドラレコ映像を活用した対処法や保険会社とのやりとり、人身事故への切り替えの影響などについて詳しく解説します。
左折時の事故における一般的な過失割合とは?
左折車と直進バイクの接触事故では、原則として車側に大きな過失(7:3や8:2)が課せられるケースが多いです。ただし、バイクが左側から追い抜いてきた場合には、バイク側の過失が加算され、逆に車側の割合が減ることもあります。
今回のように「バイクが左側からすり抜けてきた」という明確な証拠がドラレコに映っているなら、過失割合の修正が見込める余地はあります。
ドラレコは交渉の“切り札”になる
ドライブレコーダーの後方映像に、バイクが左側から追い越してくる瞬間が記録されていれば、それは加害性の有力な証拠です。この映像を保険会社に再提出し、弁護士や示談交渉担当者に分析してもらうことが大切です。
実例では、ドラレコの映像により「車両側8:バイク側2」の提示が「車両側6:バイク側4」にまで変更された事例もあります。
人身事故として扱われると何が変わる?
相手が「人身事故として届け出る」と主張してきた場合、事故の重みが増すように感じますが、加害者側の過失割合が変わるわけではありません。ただし、人身扱いになることで「慰謝料」「通院費」「休業損害」などの請求額が増える傾向があるため、金額ベースでの損失は拡大する可能性があります。
また、警察の取り扱い上「交通違反点数」「反則金」の付与対象になる場合もあるため、安易な判断は避けましょう。
弁護士特約なしでも対応できる工夫
弁護士特約がない場合でも、次の対応を取ることで不利な交渉を避けることができます。
- 保険会社にドラレコ映像を繰り返し提出し、再評価を依頼する
- 事故証明書や実況見分調書を自分でも確認する
- 交通事故に強い法律相談窓口(自動車会議所、交通事故紛争処理センターなど)に無料相談を活用する
また、「何割なら納得できますか?」と聞かれても、冷静に「公平な基準に基づき判断したい」と答えることが有効です。
修理か買い替えか?経済的全損の判断基準
K自動車の修理費が保険会社の査定で30万円、実際の損害額は60万円という場合、いわゆる「経済的全損(修理代が時価を上回る)」と判断される可能性があります。
その場合、保険金の支払上限が時価(=30万円)となるため、差額は自己負担になります。修理にこだわらず、買い替えも含めて総合的に判断するのが合理的です。
まとめ:諦める前に冷静な再確認を
・左折中の事故でもバイクの“すり抜け”には過失が認定され得る。
・ドラレコ映像を再提出することで過失割合が変わる可能性あり。
・人身事故に切り替えられても過失割合には直接影響しないが、金銭負担は増える可能性あり。
・弁護士特約がなくても無料相談機関の活用は可能。
・経済的全損なら買い替えも検討の価値あり。
冷静な証拠整理と、感情に流されない交渉が、事故処理で後悔しないための鍵です。