自己破産と持株会の株式|価値の変動と管財事件化のリスクを徹底解説

自己破産を検討・申請する際には、不動産や預貯金だけでなく、保有している株式や金融商品も対象資産として扱われます。とくに企業の持株会で保有している株式については、タイミングや評価額の変動によって扱いが大きく変わることがあります。この記事では、自己破産と持株会における株式の取扱いについて、具体的な状況や注意点を交えて解説します。

持株会とは?仕組みと特徴を理解しよう

持株会とは、会社が従業員の資産形成を支援する制度の一つで、給与から天引きして自社株を定期的に購入する仕組みです。購入額には奨励金が上乗せされることもあり、福利厚生の一環として導入している企業も少なくありません。

一方で、この株式は上場・非上場問わず「金融資産」として評価されるため、自己破産時の資産調査の対象になります。つまり、現金や不動産と同様に「価値あるもの」と見なされ、一定の金額以上になると清算対象となります。

自己破産における資産の取り扱い

自己破産の手続きでは、原則として20万円を超える資産がある場合は「管財事件」となり、破産管財人が選任されて財産の調査・換価(売却)を行います。逆に、資産が20万円未満であれば「同時廃止事件」となり、比較的スムーズな処理が可能です。

たとえば、持株会における株式が16万円程度であれば、資産の合計が20万円未満である限り同時廃止事件となる可能性が高いですが、価値が20万円を超えた場合は管財事件へ移行するリスクが高まります。

株価の変動と脱退のタイミングの重要性

株式は市場価値に左右されるため、自己破産の申立て前後で大きく価格が変動することがあります。仮に申立て前は16万円でも、その後の株価上昇で20万円を超えた場合、申立て時点での価値が評価の基準となる可能性があります。

また、持株会から脱退しないまま放置しておくと、自動的に株式が積み立てられ続けることになり、知らず知らずのうちに資産評価額が上がってしまうケースもあります。破産申立ての前に、持株会からの脱退や現金化の検討も重要です。

管財事件になると何が変わるのか

管財事件となった場合、破産管財人がすべての資産と債務の調査を行い、換価可能な資産がある場合には売却して債権者に分配します。株式もその対象となり、持株会の株を売却して得られた資金が債権者への返済に回されます。

さらに、管財事件になると手続きが複雑になるだけでなく、費用として「予納金(最低でも20万円程度)」が追加で必要になるため、破産者本人の負担も増すことになります。

よくあるケースと実例から学ぶ

たとえば、Aさんは自己破産の相談時点で持株会の株が18万円程度であったため、そのまま同時廃止事件として進めることができました。しかし、Bさんは破産申立て後に株価が急騰し、株式評価額が23万円となっていたため、途中で管財事件に変更されました。

このように、株価の変動や持株会の脱退忘れが思わぬトラブルを招くことがあります。自己破産の申立て準備段階から、弁護士や司法書士と十分に相談し、持株会の扱いを明確にしておくことが非常に重要です。

まとめ:持株会の株式も「資産」であることを忘れずに

自己破産における持株会の株式は、たとえ自社の制度内で管理されていたとしても「価値ある資産」として扱われます。株価の変動や脱退タイミングによっては、管財事件に発展するリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

安心して手続きを進めるためにも、早い段階で弁護士などの専門家に相談し、持株会の処理や財産評価について適切なアドバイスを受けるようにしましょう。思いがけない損失や手続きの遅延を防ぐためにも、準備段階からの対策が鍵となります。

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