交通事故の加害者として、相手方の通院が長引くと「本当に必要な通院なのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。今回は、交通事故後の通院期間が長期化するケースとその正当性、また加害者として注意すべき点をわかりやすく解説します。
事故の程度と通院期間の関係
事故が軽微であっても、むち打ち症などは発症が遅れるケースがあり、数ヶ月単位で治療が続くことも珍しくありません。実際、国土交通省や損害保険協会の統計でも、通院期間の平均は約3〜6ヶ月です。
ただし、症状の重さや回復具合によっては、半年以上通うこともあり、これ自体が「不自然」とは言い切れません。
長期通院は“詐病”の可能性もある?
被害者の通院が7ヶ月以上続いている場合、保険会社も「治療費の支払いを継続すべきか」判断する必要があります。あまりにも通院頻度が少ない、リハビリがメインになっている、などの要素があると「症状固定」と判断し、打ち切り交渉を始めることも。
ただし、医師の診断がある限り、被害者が通院を続けること自体を止めることはできません。
加害者ができる確認ポイント
- 保険会社に治療内容の詳細を確認する:必要以上の支払いがされていないか、保険担当者に通院状況や医師の判断を尋ねましょう。
- 症状固定の時期を確認:通院6ヶ月以降は症状固定(これ以上治らない)と判断されることが多く、慰謝料の計算も打ち切り基準に変わることがあります。
- 弁護士への相談:被害者側が過剰な請求をしていると感じた場合、法的な視点でアドバイスを受けるのも有効です。
実例:軽微な追突でも8ヶ月通院したケース
ある追突事故では、相手方は事故当初「痛みはない」と述べたものの、2週間後からむち打ちの症状が出て整形外科に通院を開始。週1〜2回のリハビリが8ヶ月続きました。
この場合、加害者の任意保険会社は途中で「症状固定」と判断し、通院費の支払いを7ヶ月目で打ち切りました。被害者は通院を続けましたが、それ以降の費用は自己負担となりました。
過失のある加害者としての正しい姿勢
自分が完全な過失である事故では、相手の治療を正当な範囲で保障する姿勢が大切です。たとえ「通いすぎでは?」と感じても、勝手に判断せず保険会社と相談しながら対応しましょう。
万が一、被害者側に不自然な通院の意図があっても、感情的に疑うのではなく、冷静に保険会社や法的専門家に助言を求めることが肝要です。
まとめ:通院の長さよりも医師の判断が重要
通院期間が長いからといって、すぐに「不正だ」「詐病だ」と決めつけるのは避けましょう。重要なのは、医師の診断と保険会社の対応です。加害者側としては、冷静な情報収集と丁寧な確認が大切です。
納得できない点がある場合には、弁護士への相談も選択肢の一つです。感情的な対立ではなく、正当な手続きの中で解決を目指しましょう。