自転車に乗ったお子さんが交通事故に遭った際、怪我が軽傷で済んだとしても、その後の心の傷や日常生活への影響を考えると、示談金の提示額に疑問を抱く親御さんは少なくありません。今回は、示談金2万5千円という提示額が適正かどうかを判断するための基準と、交渉時に知っておきたいポイントを解説します。
自賠責保険と任意保険の役割を正しく理解しよう
まず、加害者が加入している保険の種類により、補償範囲が異なります。自賠責保険は人身事故に対する最低限の補償を目的としており、通院がなければ慰謝料は支払われない可能性が高いです。
一方、任意保険には慰謝料、通院交通費、逸失利益など広い範囲の補償が含まれています。示談金2万5千円は、任意保険の中で「物損(自転車修理代)」や「精神的苦痛に対する慰謝料」として提示された可能性があります。
通院がない場合の慰謝料相場とその根拠
一般的に、自賠責保険での慰謝料は通院1日につき4,300円が基準となります。しかし、通院実績がゼロだとこの基準は適用されず、任意保険側の判断でごくわずかな慰謝料のみが示談金として提示される傾向があります。
たとえば、「身体的な治療が不要だったが、精神的ショックが大きい」といったケースでも、通院記録や診断書がないと、保険会社は評価しにくいのが実情です。
恐怖心や通学の支障も損害の一部として主張できる
事故をきっかけに自転車に乗ることが怖くなり、毎日車で送迎しているという点は、生活への実質的な影響といえます。心療内科の受診やスクールカウンセラーとの面談を受けた記録があれば、精神的損害としての慰謝料請求の根拠になり得ます。
また、自転車修理や通学交通費の増加分などは、実費として請求できる可能性があります。領収書などがあれば保存しておきましょう。
示談に応じる前に確認すべきポイント
提示された金額に納得できない場合、示談書に署名・押印する前に以下を確認しましょう。
- 保険会社がどの項目に対して支払いを行おうとしているのか
- 損害や慰謝料の算定根拠
- 今後の後遺症などが発生した場合の対応
疑問がある場合は、法テラスや、弁護士会の無料法律相談を活用するのも一つの方法です。
被害者側でできる交渉や請求の進め方
被害者側から慰謝料の増額や交通費の支払いを求める場合、「請求書」を正式に提出することが重要です。具体的な金額を明示した上で、医療費、送迎による交通費、精神的苦痛の慰謝料などを項目ごとに明記しましょう。
これにより保険会社も対応を検討しやすくなり、交渉のベースが明確になります。
まとめ:示談金に納得できないときは情報を整理し冷静に対応を
示談金2万5千円という金額は、軽微な物損・無通院のケースでは見られる額ではありますが、精神的影響や生活への支障がある場合は、増額交渉の余地があります。安易に示談に応じず、医師の診断や記録、費用の実費など、主張できる根拠を揃えてから対応することが大切です。
不安がある場合は弁護士や専門家の意見を取り入れ、最適な解決を目指しましょう。