インターネットでの口コミ投稿が一般的になった現代において、企業やサービスへのレビューは貴重な情報源です。しかし、正直な感想を書いたつもりでも「名誉毀損」に該当する可能性があると聞くと、投稿をためらう人も多いのではないでしょうか?この記事では、口コミ投稿と名誉毀損の関係について、わかりやすく解説します。
口コミが名誉毀損になるケースとは?
口コミ投稿が名誉毀損とされるのは、主に以下の3つの要件を満たした場合です。
- 特定の個人・企業の社会的評価を下げる内容である
- 不特定多数に公開される状況である
- 発言内容が事実であっても、公益性がないと判断される場合
つまり、「正しいことを書いた」だけでは免責されるわけではありません。社会的評価を下げるような内容には注意が必要です。
名誉毀損が成立しない「正当な表現」とは
判例上、以下の3つの要件をすべて満たす場合、名誉毀損にあたらず「違法性が阻却」されるとされています。
- 公共の利害に関する事実(例:不動産会社のトラブル情報)
- 公益を図る目的(例:被害者が出ないようにという警告)
- 指摘した事実が真実である(証拠の提示が重要)
たとえば、「私は〇〇社に二重請求された。録音と請求書がある」など、具体的かつ証拠に基づいた記述であれば、違法性は問われにくくなります。
「〇〇と書けばセーフ」は通用しない
「これ以上被害者が出ないように」といった善意のフレーズを添えたとしても、それ自体が法的な免罪符になるわけではありません。公益性や真実性が伴っていなければ、発信者の意図とは無関係に名誉毀損と判断される可能性があります。
また、「個人の感想です」と書いた場合でも、事実を示唆するような内容なら同様のリスクがあります。
トラブルを避けるために意識すべきポイント
安全に口コミを書くためには、次の点を意識しましょう。
- 主観と事実を明確に分けて書く
- 誇張や侮辱的表現を避ける
- 証拠がある内容のみに絞る
- 投稿先の利用規約に従う
たとえば、「担当者が嘘をついた」という断定ではなく、「〇月〇日の説明と実際の契約内容が異なっていた」と事実に基づいた表現にすることが重要です。
実例:投稿で名誉毀損となったケースと免れたケース
【違法とされた例】
飲食店の接客に不満があり「最悪、潰れて当然」とSNSに投稿 → 社会的評価を不当に貶めたと判断
【違法とされなかった例】
購入した製品に欠陥があり、写真付きで不具合を指摘 → 客観的な事実に基づく公益性のある投稿と認定
まとめ
口コミは、消費者にとって有益な情報となる一方で、投稿内容によっては法的責任を問われるリスクもあります。「事実であれば大丈夫」とは限らないため、投稿前に内容を冷静に整理し、誇張や断定を避ける姿勢が大切です。万が一、法的リスクに不安がある場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
正しい知識で、安心・安全な口コミ投稿を心がけてください。