連帯保証人も“時効援用”できるの? 民法456条・改正前後の違いも徹底解説

連帯保証人は、主たる債務者が時効を援用した場合、自動的に負担が消えるのでしょうか?本記事では、民法456条に基づく連帯保証人の時効援用の可否や、法改正前後の違いを実例とともに解説します。

■連帯保証人にも時効援用の権利がある

連帯保証人は、民法第145条により「当事者」として、自ら消滅時効を援用することができます。つまり、主債務の時効成立後、保証人としても返済義務を免れることが可能です。

たとえば、主債務の最終支払日から5年(改正後は主観的起算点から5年または客観的起算点から10年)が経過すれば、保証債務にも時効援用が可能になります。

■連帯保証債務は“付従性”がある

保証債務は主債務に“付従”する性格を持ちます(民法457条)。

主債務の時効が成立すれば、連帯保証債務も消滅します。一方で、主債務が更新(例えば債務承認や裁判上の請求など)されると、当然、保証債務の時効も更新されます。

■連帯保証人単独での援用もOK

連帯保証人は、主債務者が援用しなくても単独で時効援用できます。主債務者が対応しなくても、保証人として必要に応じて早めに手続きを進められる点が大きな利点です。

■法改正前後での違いは?

改正前(2020年3月31日以前)は、保証人への請求が主債務者の時効にも影響しましたが、改正後は別となりました。

現在は、保証人への請求から主債務へ影響するには、債権者と主債務者間で“明確な合意”が必要です。

■複数保証人・更新中断の注意点

複数の連帯保証人がいる場合、各人が個別に時効援用の要件を満たす必要があります。

また、主債務者または保証人自身が債務の承認(例:一部返済や取り立て請求への応答)をすると、時効がリセットされるので要注意です。

■実例で確認

・A社からの請求が2020年に最後、以降請求行為がなければ、2025年以降に保証人が援用可。

・主債務者が2023年に承認行為をすれば、その時点で時効は更新され、保証人も再カウント。

■まとめ:連帯保証人の意思表示がなくても債務は消える?

主債務者が時効援用すれば保証債務も付随して消滅するため、連帯保証人は自ら意思表示しなくても理論上は時効適用されます。

ただし、債権者からの請求を防ぎ安心を得るためにも、保証人自身が正式に「時効援用声明」を送ることが推奨されます。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール