高齢の親が亡くなった後、突然届くローン会社からの請求通知。そんな時、遺族はどこまで対応する義務があるのでしょうか?この記事では、高齢者によるローン契約の有効性と、相続人としての対応について詳しく解説します。
高齢者がローンを組むことは可能なのか?
日本の法律では、成年であり判断能力がある限り、年齢に関係なくローン契約は有効とされます。つまり、88歳の高齢者であっても、健康で契約時に正常な判断ができていれば、ローン契約は成立します。
特に家電量販店や提携クレジット会社を利用した「ショッピングクレジット」では、一定年齢以上でも契約可能なケースがあります。ローン会社側も年金収入などを基に審査を行っているため、高齢者がローンを組んでいても珍しくはありません。
家族に知らせずにローン契約をしていた場合の対応
今回のケースのように、亡くなった方が家族に無断でローンを組んでいたとしても、契約が適法である限り、契約は有効です。そして、残債は「遺産」に含まれます。
つまり、支払いの義務は家族が「相続するかどうか」によって変わります。相続放棄をすれば支払い義務はなくなりますが、相続を承認した場合は、財産と同時に借金も引き継ぐことになります。
ローン会社への対応のステップ
① 契約書や残債額の確認
まずはローン会社から契約内容や残債額の明細を取り寄せましょう。法的には相続人に開示請求する権利があります。
② 支払義務の有無を判断
ローンを含む負債が明らかになったら、相続放棄するかどうかを家庭裁判所に相談・判断する必要があります。相続放棄は原則として相続開始(通常は死亡)から3か月以内に行わなければなりません。
③ 支払う場合は交渉も可能
ローン会社と交渉し、支払い猶予や減額を求めることもできます。特に支払能力がない場合は、法テラスや弁護士を通じて和解交渉をするのが現実的です。
保証人がいなければ支払う必要はある?
保証人がいなければ、そのまま本人が死亡した時点で契約は「債務の相続」という形になります。夫や子が保証人になっていなければ、原則は「相続を承認するかどうか」で支払いの義務が発生します。
なお、保証人でない限り、契約者本人の死亡後に自動的に支払い義務が移ることはありません。
悪質販売や高齢者への不当契約の可能性
近年では、判断能力が低下している高齢者に対して高額な商品を売りつける「不当販売」も問題になっています。特に一人暮らしの高齢者が標準以上の価格でエアコンなどを購入していた場合は、消費生活センターに相談するのも有効です。
契約が「錯誤」「詐欺」「強迫」などであれば、遺族によって無効主張を行える可能性もあります。
まとめ:まずは相続放棄の検討と専門家相談を
高齢者が契約したローンは、契約自体が適法なら原則有効です。しかし、遺族が相続放棄をすれば支払い義務は回避可能です。また、高額商品の購入や契約の経緯に不審点がある場合は、消費生活センターや弁護士に相談し、対応を検討しましょう。