コンビニでの未払い行為は債務不履行?窃盗?司法書士講座の例を法律的に解説

日常生活の中でも身近なコンビニでの買い物。商品をレジに持って行き、お金を支払わずに立ち去った場合、それは一体「債務不履行」「窃盗」「無償譲渡」「強盗」のどれになるのでしょうか?本記事では、司法書士講座でも出題されるような実務的視点から、この疑問に対する考察を詳しく解説します。

レジで商品を置いた時点で契約成立?

民法上、売買契約は「申込み」と「承諾」によって成立します。コンビニでは、客が商品をレジに差し出し、店員が会計処理を始めることで黙示的な承諾が成立し、契約はここで成立していると解釈されます。

つまり、商品を持ってレジに行き、店員がバーコードを読み取った段階で売買契約は成立していると見なされるのが通説的理解です。

お金を払わず立ち去った場合は債務不履行?

売買契約が成立した後にお金を払わず立ち去った場合、それは債務不履行の一種とも解釈できます。ただし、重要なのは「故意」か「過失」かです。故意で支払いをせずに逃げた場合、それは単なる債務不履行では済みません。

契約の履行を拒否する意志があるかどうか、つまり「支払う気がない」ことが立証されれば、これは民事的責任にとどまらず、刑事責任も問われることになります。

では、これは窃盗罪にあたるのか?

窃盗罪(刑法第235条)は「他人の財物を不法に占有すること」に該当しますが、売買契約が成立していれば形式上その物は「自己の物」になります。とはいえ、支払いの意思がないまま商品を持ち出せば、最初から「不法領得の意思」があったと見なされ窃盗罪が成立することがあります。

これはいわゆる「万引き」に近い構造で、特に監視カメラ映像や目撃証言などで支払意思が最初からなかったと証明されれば、窃盗として処罰され得ます。

店員が気づいて呼び止めた場合は?

店員が「お客様、お会計がまだです」と声をかけたのに無視して立ち去った場合、力ずくで逃げたり暴力行為に及んだ場合は「強盗罪」(刑法第236条)が適用される可能性すらあります。

一方、店員が気づかずに客が退店した場合、客の行動が悪意のない「うっかり」であれば、窃盗には該当しないこともあります。ただし、結局はその後の対応と意思表示により判断されます。

支払いの猶予があるケースでは?

たとえば、財布を忘れてしまい「後で支払います」と申し出て、店側が身分証の確認や誓約書をとって支払いの猶予を認めた場合、その後に支払わなければ、それは「債務不履行」が問題となる純粋な民事案件になります。

このように、支払い意思と合意が成立していることが明確であれば、刑事罰の対象とはなりません。

まとめ:行為の態様によって判断が分かれる

コンビニでお金を払わずに商品を持ち出した行為は、一見単純でも法的には様々な分類が可能です。「債務不履行」「窃盗」「強盗」「無償譲渡(黙認)」といった結論は、当事者の意思・行動・その場の状況によって判断されます。

司法書士試験や実務では、こうした日常的な場面を法的にどう解釈するかが重要視されます。今回のようなケースは、法的リテラシーを深める良い題材となるでしょう。

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