スーパーなどの小売店で、他人のカゴに入った精算前の商品を取る行為は、ふとした軽い気持ちから起こり得るものです。しかし、このような行為には刑事上のリスクが潜んでおり、場合によっては「窃盗罪」に問われる可能性もあります。本記事では、その法的な位置づけと実際の対応について詳しく解説します。
カゴに入った時点で「占有権」はあるのか?
カゴに入っている商品はまだ店舗のものではありますが、消費者が「購入する意思」をもって自らのカゴに入れた時点で、その人に対して占有(管理・支配している状態)を認めるというのが一般的な法解釈です。
つまり、たとえ商品が店の所有物であっても、他人のカゴにある時点でその人に対して「準占有」が発生しているため、勝手に取ると「占有離脱物横領」や「窃盗」となる可能性があります。
実際に起きた事例:窃盗が成立したケース
2020年に発生した事例では、スーパー内で他人のカゴから肉を取り自分のカゴに入れた高齢男性が窃盗容疑で逮捕され、店側が防犯カメラの映像を証拠として提出しました。
このように、防犯カメラや目撃証言があれば、店側や被害者の告発により捜査・処罰の対象になる可能性は十分にあります。
「ちょっと借りただけ」では済まされない理由
本人に悪意がなく「間違えた」「冗談のつもりだった」と主張しても、他人の占有を侵害しているという事実は変わりません。特に相手が被害届を出せば、警察も事件として扱うことが多くなっています。
また、未成年や高齢者であっても、「責任能力あり」と判断されれば、刑事手続きの対象となる可能性があります。
被害にあった場合の対処法
もし自分のカゴから商品を取られた場合、まず店員にその旨を伝え、防犯カメラの映像確認を依頼することが重要です。
その場で相手とトラブルになるのを避け、冷静に店舗側と対応しましょう。店舗によっては警察を呼び、被害届を出すサポートも行ってくれます。
未会計商品の法的位置づけとトラブル防止策
スーパー内では、商品の所有権は会計前までは店舗にありますが、カゴに入れた時点で事実上の支配(占有)が発生するため、他人のカゴに手を出すことはリスク行為です。
誤認やトラブルを防ぐためには、類似した商品であっても他人のカゴに手を伸ばさない、店員に確認を取るなどの対応が必要です。
まとめ:思わぬトラブルを避けるために
スーパーで他人のカゴから商品を取る行為は、軽い気持ちでも法律上は「窃盗」と判断されることがあります。「精算前だから大丈夫」という油断は禁物です。
他人の所有とみなされる占有状態にある物に手を出すことは、刑事事件の引き金になり得ます。日常の買い物でも、法的視点を持って行動することが大切です。