防犯カメラ映像をSNSに無断で公開してもいいの?肖像権と名誉毀損の法律リスクを徹底解説

近年、防犯カメラやスマートフォンで撮影した映像をSNSや掲示板で公開するケースが増えています。しかし、知らない人物の顔を無加工でネットに公開することは、法的に問題が生じる可能性が高い行為です。本記事では、他人の顔画像を許可なくネット公開することに関する法律リスクや、正当な対応方法について解説します。

防犯カメラの映像に映った人物の顔を公開していい?

防犯目的で設置されたカメラに不審な人物が映っていた場合、その映像を「証拠」や「注意喚起」として使いたくなる気持ちは理解できます。しかし、個人が特定可能な映像を無断でネットに公開することは、肖像権の侵害や名誉毀損に該当する可能性があります。

特に顔がはっきりと写っており、加工もされていない状態でSNSや質問サイトなどにアップする行為は、「私刑(リンチ)」と捉えられやすく、後々あなたが責任を問われる恐れもあるため慎重な判断が求められます。

肖像権とプライバシー権の違反に該当するケース

日本の民法上、本人の許可なくその顔写真を公開することは肖像権の侵害となります。また、場所や状況によってはプライバシー権の侵害にもなり得ます。

たとえば、私有地を覗き込んでいた不審者であっても、「警察に相談することなく先にネット公開する」行為が不適切と判断される可能性が高いのです。

名誉毀損罪が成立する要件とは?

刑法第230条では、事実を摘示して、他人の社会的評価を低下させた場合、名誉毀損罪が成立するとされています。たとえ事実であっても、「不特定多数が閲覧するネット上」で晒すことが違法となるケースが多いのです。

顔写真を添えた投稿で「この人は自宅を覗いていました」と記述すれば、仮に事実であっても名誉毀損に問われる可能性があります。さらに相手が未成年や精神障害者だった場合、あなた側の責任はさらに重くなる可能性も。

正当な対応方法:警察への相談と証拠の保全

不審者に対して適切に対応したいのであれば、警察や自治体に相談することが最も安全かつ効果的です。防犯カメラの映像は、警察にとって重要な捜査資料となることがあります。

その際、映像はスクリーンショットではなく可能であればオリジナルの動画形式で提出し、日時や場所、状況を詳細に伝えるとより信頼性が増します。

公開するなら最低限守るべき注意点

やむを得ずネットで注意喚起を行いたい場合でも、以下の点には十分注意が必要です。

  • 顔にモザイクを入れる
  • 人物の服装・特徴だけにとどめ、個人が特定できないようにする
  • 具体的な場所や時間をぼかす
  • 「疑わしい人物」など断定を避けた表現を使用する

これらを守らずに公開した場合、相手から名誉毀損で訴えられるリスクが現実のものとなります。

まとめ:冷静に対処し、自衛と法的リスクのバランスを

不審な行動に対して不安や怒りを感じるのは当然ですが、個人で断罪することは法律上許されていません。防犯カメラの映像を活用したい場合は、まずは警察に届け出て、正規の対応をとることがもっとも安全かつ有効です。

「晒す」よりも「相談する」選択をすることが、あなた自身を守ることにもつながります。

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