高齢の家族がいるご家庭では、固定電話にかかってくる詐欺電話への対応が年々重要性を増しています。特にオレオレ詐欺や還付金詐欺などは、高齢者を狙った手口として依然として多くの被害が報告されています。この記事では、固定電話をやめるだけでなく、より安全に高齢の家族を守るための実践的な方法を解説します。
なぜ固定電話が狙われやすいのか
詐欺グループは名簿業者などから手に入れた「高齢者の固定電話番号リスト」を使い、手当たり次第に電話をかけています。特に一人暮らしや高齢者夫婦世帯は「話を聞いてくれる可能性が高い」と見なされ、ターゲットにされがちです。
また、電話番号非通知や050番号などの回線も使用されているため、一般の着信と区別がつきにくいという弱点もあります。
スマホを持たせるのは有効な対策か
スマホを高齢の親に持たせることは、確かに一つの有効な対策です。スマートフォンには迷惑電話をブロックするアプリ（例：Whoscall、電話帳ナビ、楽天でんわなど）や、家族が管理できるフィルター設定などもあります。
また、連絡はLINEなどのアプリに限定することで、知らない番号からの通話を完全に遮断することもできます。ガラホ（スマホ型ガラケー）を選択肢にするのも、操作が簡単でおすすめです。
固定電話を残す場合の安全対策
どうしても固定電話を手放せない場合には、次のような対策が考えられます。
- ナンバーディスプレイを導入し、番号を確認してから応答させる
- 通話録音機能付きの電話機に交換する
- 「自動で留守電応答にする」設定をして、本人が出ないようにする
- 地域の警察署が配布している「防犯機能付き通話録音装置」を利用する
これらの機器の一部は、自治体や警察署で無料または補助金付きで配布されている場合もあります。ぜひ最寄りの自治体の防犯窓口に相談してみてください。
会話を減らす教育も重要
どんなに機械的なブロックをしても、すべての詐欺電話を防ぐことは困難です。大切なのは、ご本人が「知らない相手と電話で長話しない」「お金の話はすぐ切る」などの基本行動を身につけることです。
実際に詐欺電話の録音を聞かせて「これが詐欺電話だよ」と教えるのも効果的です。加えて、電話に出る前に家族と一言相談する習慣をつけさせると安心です。
実例：固定電話からスマホに切り替えて安心できたケース
80代の母親と同居していたAさんは、度重なる詐欺まがいの電話に悩み、思い切って固定電話を廃止し、スマートフォンを契約。スマホには通話履歴を家族が確認できるアプリを導入し、LINEと家族専用電話番号だけを使用するように設定しました。
結果として、怪しい電話は一切かからなくなり、本人も「知らない人から電話が来ないので気楽」と安心しているそうです。
まとめ：大切なのは「遮断」と「教育」の両輪
高齢者を詐欺電話から守るには、単に固定電話をやめるだけでなく、「スマホの安全活用」「本人への教育」「防犯機器の活用」などを組み合わせて対策するのが理想です。
まずはご家庭に合った方法を選び、小さな対策から始めてみることが大切です。高齢者の安心と自立を尊重しながら、家族みんなでサポートできる環境を整えていきましょう。