自己破産から7年が経過した方が「慰謝料請求が免責になるのか?」という疑問を持つことがあります。本記事では、自己破産制度の免責範囲と、慰謝料が含まれるかどうか、そして7年後という時間経過が影響するかどうかについて、わかりやすく解説します。
自己破産と免責の基本
自己破産とは、借金などの債務を裁判所の手続きによって免除してもらう制度です。免責が認められると、対象となった借金の返済義務が原則として消滅します。
ただし、免責には「非免責債権」という例外があり、全ての債務が帳消しになるわけではありません。
慰謝料請求は免責される?
慰謝料と一口に言っても、その発生原因により、免責されるかどうかが異なります。免責されない典型的なケースは以下の通りです。
- 故意または重大な過失による不法行為に基づく損害賠償(例:DVや不貞行為による慰謝料)
- 婚姻費用や養育費など、生活に直結する支払い
このように、離婚や不法行為による慰謝料の請求は免責されない可能性が高いとされています。
時間経過による免責の影響は?
免責が認められるかどうかは、「免責決定時点」の債務を基準に判断されます。したがって、免責が確定した後に発生した慰謝料請求については、当然ながら免責の対象にはなりません。
つまり、自己破産から7年が経過していたとしても、新たに慰謝料請求された場合は、再びその内容に応じて支払義務が生じる可能性があります。
実例:自己破産後に離婚し慰謝料を請求されたケース
たとえば、Aさんが自己破産し、その後5年後に離婚。相手から慰謝料を300万円請求されたとします。この場合、その慰謝料請求は自己破産とは無関係に発生した新たな債務であるため、支払義務が免除されることはありません。
逆に、免責決定前に生じた不法行為による慰謝料については、免責不許可事由に該当するかどうかの審査がなされ、該当すれば免責されない可能性があります。
慰謝料の請求を受けた場合の対応方法
・慰謝料の原因が免責不許可事由にあたるかどうかを確認する
・法テラスなどで無料法律相談を受け、法的な見解を確認する
・状況によっては再度の債務整理(個人再生や再破産)を検討することも視野に入れましょう
まとめ
- 慰謝料は免責対象になるかどうか、その原因次第
- 重大な過失・不法行為に基づく慰謝料は原則免責されない
- 7年経過しても、免責後に発生した債務は新たな債務として支払義務が生じる
- 不安がある場合は法テラスなどで専門家に相談するのが確実
自己破産によってすべての債務が帳消しになるわけではありません。特に慰謝料のような請求はケースバイケースの判断が必要ですので、状況に応じた適切な対応が重要です。