SNSでの誹謗中傷が問題になることが多くなった近年、開示請求を受けた、または行ったという方が増えています。TikTokやX(旧Twitter)などで暴言・脅迫・名誉毀損とみなされる発言があった場合、発信者情報開示請求という手段が取られることがあります。本記事では、開示請求がどんなケースで行われるのか、実際にあった内容や、かかる費用、慰謝料、手続きの流れを解説します。
開示請求の対象になりやすい発言とは?
開示請求の対象になるのは、「名誉毀損」「侮辱」「脅迫」「業務妨害」「プライバシー侵害」など、法的に違法性があるとされる投稿です。典型的には以下のような内容が該当します。
- 「〇ね」「〇すぞ」といった明確な脅迫表現
- 特定の個人を名指しした誹謗中傷
- 事実無根の悪評や嘘の情報を流す行為
- イラストや動画に対して人格否定を繰り返す投稿
例として、TikTokで絵文字付きであっても、「👎〇ね」「💣〇すぞ」などの投稿は、表現の自由を逸脱しているとみなされることがあります。
実際に行われた開示請求の事例
あるケースでは、特定のYouTuberに対して「詐欺師」「顔がキモい」「死ね」などのコメントがSNS上に繰り返し投稿されました。これを受けて弁護士を通じてプロバイダに発信者情報開示請求が出され、投稿者が特定された後、損害賠償請求に発展しました。
他にも、X(旧Twitter)での連投暴言により、書き込み主が特定され、示談金30万円を支払う形で和解に至ったケースもあります。
開示請求にかかる費用と慰謝料の相場
一般的な費用目安は以下の通りです。
項目 | 費用目安 |
---|---|
弁護士費用 | 10万円〜30万円程度(着手金+成功報酬) |
裁判費用(郵便送達・印紙代等) | 1万円〜2万円程度 |
プロバイダへの手数料 | 数千円〜1万円程度 |
慰謝料については、内容の悪質度・投稿回数・影響力により異なりますが、10万円〜50万円が多く、悪質な場合100万円以上になることもあります。
民事と刑事、開示請求はどちらに該当する?
発信者情報開示請求自体は民事手続きです。開示後に損害賠償請求(民事)や、刑法に触れる内容(脅迫・侮辱・名誉毀損)であれば刑事告訴へと進む可能性があります。
例:
・民事→名誉毀損による損害賠償請求
・刑事→脅迫罪・侮辱罪での警察への告訴・書類送検
開示されるとどうなるのか
発信者が特定されると、相手方弁護士から損害賠償請求や謝罪要求、もしくは示談の連絡が来るケースが多いです。拒否すれば民事訴訟に進展することもあります。
また、内容が明確に脅迫や名誉毀損にあたると判断されれば、警察が捜査に入り、書類送検や略式起訴になる事例も存在します。
まとめ:ネットの書き込みにも責任を
SNSや掲示板での発言でも、内容次第では開示請求の対象となり、損害賠償や刑事責任を負う可能性があります。過去の判例や実例を見ても、「軽い気持ち」では済まないケースが増えています。
特にTikTokなど若年層が多く利用するプラットフォームでは、言葉遣いに気をつけ、誹謗中傷や脅迫にあたる表現を避けるようにしましょう。
ネットリテラシーを身につけ、思いやりのある発信を心がけることが、トラブルを未然に防ぐ一番の対策です。