通院慰謝料を先に請求しても大丈夫?症状固定後の後遺障害申請との関係を徹底解説

交通事故における被害者の補償には「通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。特に症状固定後に後遺障害等級認定を申請したい場合、通院慰謝料を先に請求してしまって問題がないのか疑問に感じる方も多いでしょう。本記事ではその関係性を詳しく解説します。

症状固定とは?通院終了のタイミングで行う重要な判断

症状固定とは、これ以上の治療をしても症状の回復が見込めない状態を指します。医師の判断で「症状固定」と診断された時点で、通院慰謝料の対象期間は終了します。

この時点で治療は一旦終了し、今後の症状が残るようであれば「後遺障害診断書」の作成が検討されます。

通院慰謝料は症状固定後に請求可能

通院慰謝料(入通院慰謝料)は、治療にかかった期間に対して支払われる精神的損害に対する補償です。症状固定により治療終了が確定すると、その期間分の慰謝料を請求・受領することが可能です。

通院慰謝料を先に受け取っても、その後の後遺障害等級認定手続きは問題なく行えます

後遺障害の申請と認定の流れ

通院終了後、後遺障害が残っている場合には、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、保険会社または自賠責保険に申請を行います。

申請後、保険会社経由で損害保険料率算出機構の調査事務所が等級認定を行い、該当すれば「後遺障害慰謝料」「逸失利益」の支払い対象になります。

通院慰謝料の受領後に示談をしないことが重要

注意すべきポイントは、通院慰謝料を受け取ったあとに、保険会社との間で「すべての損害に関する示談」をしてしまうと後遺障害慰謝料が請求できなくなるという点です。

そのため、慰謝料のみ先に受け取る場合には「通院期間までの損害に限る」とする部分示談にするか、「後遺障害については後日改めて交渉する」旨を明記する必要があります。

実際の事例:慰謝料を分割して請求したケース

被害者Aさんはむち打ち症で6か月通院後に症状固定と診断され、先に通院慰謝料(約80万円)を受け取りました。その後、医師の診断に基づき後遺障害14級の申請を行い、等級認定され後遺障害慰謝料として別途32万円、逸失利益として48万円を受け取りました。

このように、慰謝料の請求と後遺障害申請は段階的に行うことが可能です。

まとめ:慰謝料と後遺障害は別物、示談には慎重に

通院慰謝料は症状固定後に請求・受領しても問題ありません。ただし、示談を行う際には「後遺障害の補償を含まない」ことを明記することが不可欠です。必要に応じて弁護士や交通事故専門の相談機関にアドバイスを求めましょう。

段階的に補償を受け取りつつ、後遺障害に対する請求権も確実に保全していくことが大切です。

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