未成年によるカツアゲと大人の報復暴行──法律上の責任と処罰の可能性を解説

近年、未成年による軽犯罪や不適切な行動が報道される一方で、それに対する過剰な報復が新たな問題を生むケースも見られます。この記事では、未成年による恐喝(いわゆるカツアゲ)と、それに対する大人による暴行行為が発生した場合、法的にどのような責任や処罰が生じるのかを解説します。

未成年によるカツアゲ(恐喝)は罪になるのか

日本の刑法では、相手を脅して金品を奪う行為は「恐喝罪」(刑法249条)に該当します。たとえ未成年であっても、この行為が明確であれば刑事処分の対象になります。ただし、少年法により成人とは異なる処遇となり、家庭裁判所に送致されたうえで保護観察、少年院送致などが検討されます。

また、実際に金品を奪っていなくても、脅す行為自体が恐喝未遂にあたる場合もあり、処罰の対象となる可能性があります。

報復としての暴行は正当防衛には当たらない

いかなる理由があっても、過去の行為への「報復」として暴行を加えることは、正当防衛にはあたりません。正当防衛とは、現在進行形の不正な侵害に対して、必要かつ相当な範囲で行われる行為に限られます。

このため、報復として大人数で殴打や蹴りを行った場合、「暴行罪」(刑法208条)または「傷害罪」(刑法204条)に問われることになり、加害者が成人であれば懲役刑も含む重い処罰を受ける可能性があります。

暴行の程度が重ければ傷害罪が適用される

被害者が顔に腫れが生じ、嘔吐するほどの腹部への痛みを訴えている場合、身体に対する明確な傷害が認められるため、「傷害罪」が適用される可能性が高いです。傷害罪は10年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される犯罪です。

複数人での暴行であれば「共同正犯」として全員が同じ責任を問われ、さらに被害者が未成年である場合はその影響も加味されることがあります。

身分証を撮影された場合の法的懸念

被害者の身分証の写真を無断で撮影し、それを公開したり脅迫の材料とする行為は、別途「名誉毀損罪」(刑法230条)や「プライバシー侵害」として問題になる可能性があります。また、脅迫に用いられた場合は「脅迫罪」(刑法222条)も適用され得ます。

写真がSNS等にアップされていれば、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます。

被害届と加害者の処罰可能性

暴行や傷害が発生した場合、被害者側が警察に被害届を提出することが第一歩となります。未成年による恐喝行為も含めて、警察は双方からの事情を聴取し、適切な処分を下します。

暴行を加えた側が成人であれば、逮捕されて刑事事件として立件される可能性が高く、執行猶予なしの実刑もあり得ます。逆に、未成年の恐喝行為は状況により警告・保護観察で済むこともあります。

まとめ:報復の暴力は法的に重く処罰される

未成年のカツアゲ行為が問題であるのは確かですが、報復として暴力を加えることは明確に違法であり、正当化されることはありません。特に成人が関与している場合は、刑事責任も重くなります。

もし同様の事案に直面した場合は、自己判断せず、速やかに警察や弁護士など専門機関に相談することを強くおすすめします。

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