車を運転中に誤って店舗設備や物件に損害を与えてしまうというのは誰にでも起こり得る事故です。特に初めてのトラブルで高額な請求を受けた場合、冷静さを保つのは難しいかもしれません。この記事では、実際に「セブンイレブンの倉庫に車をぶつけてしまい、140万円の請求を受けた」というケースを例に、こうした事態に直面した際の正しい対応方法を解説します。
まず確認すべきは損害の範囲と修理の妥当性
事故で破損した部分が実際にどの程度だったのかを、できるだけ客観的に把握する必要があります。写真を撮っていた場合はそれが非常に重要な証拠になります。
仮に凹んだのが「倉庫の扉の一部のみ」であった場合、「倉庫全体を新品に交換した費用を全額請求する」というのは原則として過剰な請求である可能性があります。民法上、加害者は『原状回復義務』を負いますが、それはあくまで損傷部分の修繕にかかる妥当な費用に限られます。
見積書を要求し、第三者の意見を仰ぐ
「後日請求書を送る」と言われた段階で、正式な見積書を文書でもらうよう依頼してください。口頭の金額だけでは正当性を判断できません。
見積書を入手したら、第三者の建築業者や修理専門業者などに内容を見てもらい、費用の妥当性について意見を求めることが非常に有効です。
保険に未加入の場合の対応
自動車保険(任意保険)に加入していないと、事故の損害は自己負担になります。ただし、任意保険に加入していなかったとしても、親が契約していた別の保険(たとえば火災保険や家族向け賠償責任保険)に付帯する個人賠償責任特約で補填される可能性もあるため、必ず家族にも再確認しましょう。
過大請求の可能性と消費者センターの活用
損害の程度に比して請求額が明らかに不相応と感じる場合は、全国の消費生活センターや法テラスに相談しましょう。過大請求が疑われる場合、適切な対応方法をアドバイスしてくれます。
また、示談交渉は原則として冷静に書面ベースで行うのが望ましいです。第三者の立ち合いがあるとさらに安心です。
支払い義務の判断は法的根拠が重要
相手方から請求があったとしても、すぐに支払うのではなく、「損害の範囲」「修理の必要性」「請求額の妥当性」を確認してから動くべきです。
仮に請求が不当であると判断される場合、支払いを拒否したとしても法的に問題はありません。裁判を起こされる場合でも、相手がその損害額を立証できなければ請求は通りません。
まとめ:冷静な対処が最優先。まずは第三者に相談を
不慮の事故で高額な損害請求を受けた場合、焦らず落ち着いて「損害範囲」「費用の妥当性」「保険の有無」などを確認することが大切です。文書による証拠を揃え、必要であれば消費者センターや弁護士に相談することで、自身を守ることができます。学生であっても、適切な知識と行動で十分に対応可能です。