民事訴訟の控訴手続きにおいて、「収入印紙を貼らずに控訴状を提出できるのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、控訴状の提出と印紙納付に関する基本知識と実務上の注意点について解説します。
控訴状の提出に収入印紙は必須か?
控訴状の提出にあたっては、訴訟費用としての収入印紙の貼付が法律上求められています(民事訴訟費用等に関する法律第3条)。ただし、提出の時点で印紙が貼られていない場合でも、一定の期間内に補正すれば却下されることはありません。
つまり、控訴状を一旦印紙なしで提出し、裁判所からの補正命令に従って後から納付することが可能です。
補正命令とは何か?どれくらいの猶予がある?
控訴状に印紙が貼付されていない場合、裁判所は原則として補正命令を出します。補正とは、不備を指摘された書類について、指定された期限までに不足を補うことを指します。
補正命令に従わなければ控訴状は「不適法」とされ却下される恐れがあるため、裁判所からの通知を速やかに確認し、指示された期限内に収入印紙を貼って再提出する必要があります。
控訴審にかかる印紙代の目安
控訴審で必要な印紙代は、第一審と同様、訴額(請求金額)に応じて定められています。たとえば請求額が100万円の場合、控訴に必要な印紙代は1万円が目安です。
控訴状と同時に貼るのが望ましいですが、前述の通り補正対応も認められているため、まずは期限内に提出することが大切です。
実務上の注意点とベストプラクティス
弁護士が代理人として控訴状を提出する場合、多くは収入印紙を事前に準備し、初回から添付しています。しかし、期日が差し迫っている場合は、取り急ぎ印紙なしで提出し、補正で対応することも選択肢になります。
この際、提出時に窓口の担当者に「後日補正予定」であることを伝えておくと、補正命令がスムーズに発行される傾向があります。
まとめ:印紙なし提出は可能だが速やかな補正が必須
控訴状の提出に収入印紙が貼られていない場合でも、補正対応を前提として受理されることが多いです。ただし、印紙を貼らずに放置すると控訴が却下される可能性があるため、裁判所からの通知は必ず確認し、速やかに対応しましょう。
時間的余裕があるなら初回から印紙を添付するのがベストですが、どうしても間に合わない場合は「提出→補正対応」という流れも現実的な手段として活用できます。