鳥の巣や卵を勝手に撤去すると違法?鳥獣保護管理法と建物管理の正しい対応とは

建物管理をしていると、軒先や空調室外機の周辺などに鳥が巣を作ってしまうことがあります。巣や卵を見つけたとき、衛生面や安全面から処分したくなる気持ちは理解できますが、実はその行為が法律違反となる可能性があります。本記事では、鳥の巣や卵を撤去する際に気をつけるべき法律や、管理者として取るべき正しい対応について解説します。

日本の法律で守られている「野鳥」たち

日本では、ほとんどの野鳥が「鳥獣保護管理法」によって保護されています。この法律では、鳥類や哺乳類を「鳥獣」と定義し、無許可での捕獲・殺傷・卵の採取・巣の破壊などを禁止しています。

たとえば、ハト、スズメ、ムクドリ、ツバメなどはこの法律の対象で、これらの鳥の巣を撤去するには、都道府県の環境部門への許可申請が必要です。

鳥の巣と卵を処分した場合に問われる責任

無許可で巣や卵を処分してしまった場合、「鳥獣保護管理法」第8条違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、違法性の認識がなくても、知らずに処分してしまった事実だけで摘発されるリスクがあるため、注意が必要です。

実際のトラブル事例:新米管理人のケース

ある新米ビル管理人の方は、軒先に作られたツバメの巣とその中の卵を「古くなっているから」と判断して撤去しました。その後、第三者から「法律違反だ」と指摘され、不安に。結果的に行政に相談したところ、悪質性がない初回の違反だったため指導で済んだというケースがあります。

このように、知らなかったでは済まされないケースもあるため、行動の前に必ず確認することが大切です。

許可を得ずにできる対応とは?

営巣前、つまり巣が完成しておらず卵やヒナが存在しない段階であれば、巣材の撤去は違法ではありません。つまり、「巣が完成する前に気づいて対処」することが管理側としてもっとも安全な対応策です。

また、鳥が営巣しにくいよう、ネットや防鳥ワイヤーなどで予防措置を講じておくことも合法的な対策になります。

対応に迷ったらどうする?相談窓口の活用を

鳥の種類や巣の状況により判断が異なる場合もあるため、迷ったときは自治体の環境課や自然保護部門に相談するのが最善です。

例えば「東京都環境局」や「大阪府環境農林水産部」など、地域ごとに相談窓口があります。場合によっては専門の駆除業者に依頼することで、適切な処理が可能です。

まとめ:鳥の巣撤去には法的配慮と慎重な判断が必要

鳥の巣や卵の撤去は、たとえ善意であっても法的リスクを伴う行為です。建物管理者としては、まず法律を理解し、勝手な撤去を避ける姿勢が求められます。

許可が必要なケース、不要なケースを区別しながら、地域の行政機関への相談や、予防策の実施など、安全で合法的な対応を心がけましょう。

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