高価な反物を信頼して預けたのに、仕立てが納品されない、連絡も取れない──そんな状況に陥ってしまったら誰でも不安になります。特に着物の仕立ては時間がかかるとはいえ、数ヶ月以上も放置された上に返事がないとなると「これはもう泣き寝入りするしかないのか?」と思ってしまいます。本記事では、仕立て店と音信不通になったときの対処法を、法的視点も交えながら具体的に解説します。
まず確認すべき「納期」と「契約内容」
仕立て依頼時に「通常納期」や「急ぎの対応」などについて書面やメールでやり取りしていないか、まず確認しましょう。仮に納期を2週間〜1ヶ月と明示していたのであれば、半年以上の放置は明確な契約違反となる可能性が高くなります。
LINEやInstagramなどのDM、メールなど記録が残っていれば、今後の対応に使える証拠になります。たとえ口頭でのやり取りであっても、メモや経緯を時系列で記録しておきましょう。
電話・SNS・フォーム…連絡手段は全て試したか
電話が繋がらない、問い合わせフォームやメールに返事がないという状況は、販売業者として極めて不誠実です。とはいえ、稀にメールが迷惑フォルダに入っていたり、Instagramの通知が見落とされるケースもあります。以下の手段を順に試しましょう。
- 電話(固定・携帯・営業時間内)
- メール(複数回)
- 問い合わせフォーム
- InstagramやX(旧Twitter)などSNSのDM
- Instagramの投稿コメントに公開で問い合わせ
これらをすべて行っても連絡が取れない場合は、法的手段を視野に入れる段階となります。
内容証明郵便で正式に請求する
連絡が取れない場合でも、内容証明郵便によって「反物の返却」と「仕立て代の返金」を正式に請求できます。これは法的な証拠として有効で、相手に対して強いプレッシャーとなる手段です。
内容証明では次のような請求が可能です。
- 〇日以内に納品、もしくは反物の返却を求める
- 連絡が取れないことによる精神的苦痛に対して法的措置を検討している旨
書き方に不安がある場合は、法テラスや弁護士相談を活用しましょう。
消費者センターへの相談で行政対応を促す
全国の消費生活センターでは、事業者と連絡が取れない場合の対応について助言や介入を行ってくれることがあります。店舗の所在地にある自治体のセンターが管轄になるので、そちらに連絡してください。
以下の情報を伝えるとスムーズです。
- 依頼日・支払い日
- 納期や連絡内容
- 送付済みの反物の内容と金額
- メール・電話・SNSのやり取りの履歴
事業者が複数の消費者に同様の対応をしていた場合、行政指導が入る可能性もあります。
少額訴訟で返金・返送を求めることも可能
内容証明や消費者センターの対応でも改善が見られない場合は、簡易裁判所にて「少額訴訟」を起こすことができます。60万円以下の金銭請求であればこの制度が使え、通常の訴訟よりも手続きが簡便です。
必要な書類や手続きの流れは、最寄りの簡易裁判所または裁判所の公式サイトで確認できます。
まとめ:反物を守るために、泣き寝入りしないで
連絡が取れないからといって、あきらめる必要はありません。内容証明や消費者センター、少額訴訟など、合法的に自分の財産と権利を守る手段は確立されています。今すぐ行動に移すことで、反物の返却や仕立て代の回収が現実になる可能性があります。泣き寝入りせず、然るべき手順を踏んで対処しましょう。