突然の不幸に見舞われた場合、給与の扱いや遺族の対応に不安を感じることもあるでしょう。特に給料日前に本人が亡くなってしまったとき、その給与はどうなるのか、家族が下ろすことができるのかといった点は多くの人が知っておくべき重要なテーマです。本記事ではその法的な取り扱いや、遺族が取るべき具体的なステップについて詳しく解説します。
故人の給与は誰が受け取れるのか?
故人が生前に働いた分の給与は、当然ながらその人に支払われるべき報酬です。では、本人が亡くなってしまった場合はどうなるのでしょうか?結論から言うと、給与債権は相続の対象になります。つまり、法定相続人がその権利を承継することができます。
ただし、相続手続きが完了していなければ、勤務先や金融機関は簡単に遺族に支払いを行うことはできません。正式な書類や証明が必要です。
銀行口座の扱いと引き出しの可否
被相続人(故人)の銀行口座は、金融機関が死亡を知ると凍結されるのが一般的です。したがって、家族が暗証番号を知っていたとしても、引き出しを行うことは法的には認められていません。
例外的に、死亡前に口座から引き出していた場合でも、その行為は「預金の不正な引き出し」として問題視されることもあります。基本的には、家庭裁判所での相続手続きなどを経た上で正式に処理されるべきです。
企業側の対応と必要な書類
企業は従業員が死亡した場合、原則としてその未払い給与を相続人に支払います。ただし、相続人の関係を証明するために戸籍謄本や遺産分割協議書などの提出が求められるのが一般的です。
勤務先によって対応が異なるため、まずは会社の人事や総務部に連絡を入れ、必要書類や今後の流れについて確認することが重要です。
現実的な遺族の対応ステップ
以下は、実際に遺族が取るべきステップの一例です。
- 会社に連絡し、死亡届および給与の取り扱いについて相談する
- 市区町村で戸籍謄本など必要書類を取得する
- 相続人間で遺産分割協議を行い、書面化する
- 銀行口座の凍結解除手続きを進める
- 給与が振り込まれている場合は、その相続について銀行と協議する
これらのプロセスは煩雑なことも多いため、必要に応じて司法書士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
相続放棄と給与の取り扱い
相続人が相続放棄を選んだ場合、当然ながら給与の受け取りも放棄されます。相続放棄は家庭裁判所に申し出てから3ヶ月以内に手続きする必要があります。給与だけを受け取って借金などの負債は放棄するということはできません。
この点は非常に重要であり、特に負債がある可能性がある場合には慎重な判断が求められます。
まとめ:事前の備えと冷静な対応が大切
給料日前に本人が亡くなった場合、その給与は相続財産として遺族に受け継がれます。ただし、引き出しや受け取りには法的手続きと証明書類が必要となるため、慌てずに段階的に進めることが大切です。
突然の出来事に備えて、家族間で財産や口座情報について共有しておくこと、そして信頼できる専門家のアドバイスを受けることが、安心と円滑な対応に繋がります。