2024年3月頃、アイスクリームの人気商品「ビエネッタ」が一時的な製造終了を理由に高額転売され、SNSを中心に大きな話題となりました。その中で「食品の転売を禁止すべき」という声も上がりましたが、果たして規制は有効なのか?この記事では、ビエネッタを巡る騒動をもとに、食品転売に関する法的・倫理的な問題や、規制の現実的な限界を解説します。
なぜビエネッタが高額転売されたのか?
ビエネッタは長年親しまれてきたアイスケーキ型のデザートで、一部店舗では取り扱いが限定的になっていたため、製造終了の情報が拡がると一気に需要が過熱しました。
これに便乗した転売ヤーたちは、1個数百円の商品を数千円で出品。フリマアプリでは「プレミア品」「入手困難」として高値で売買され、消費者の反発を招きました。
食品転売は法律で禁止できるのか?
日本には明確に「食品転売を全面禁止する法律」は存在しませんが、一定の条件を満たすと食品衛生法や景品表示法、古物営業法などに抵触する可能性があります。
特に、冷凍食品や消費期限のある商品を個人が適切な保存・配送管理なく販売する場合、食品衛生上の問題から取り締まりの対象になることがあります。
“箱だけ販売”や“冷凍保存のため中身は廃棄”は合法なのか?
一部の転売者は「中身は廃棄済み」「パッケージだけを販売」として規制の網をかいくぐる手法をとっています。これは、現行法上グレーゾーンではあるものの、明確に違法とは言い切れないケースもあるのが実情です。
ただし、「商品性がある」「実質的に食品としての流通を促している」と判断されれば、問題視される可能性は十分あります。フリマアプリ各社でも規約違反にあたる可能性があり、出品停止やアカウント凍結が行われる例も報告されています。
規制よりも有効なのは「買わない」こと
「転売ヤーは買い手がいるから成り立つ」──これは多くの専門家や法律家も同意する意見です。どれだけ規制を強化しても、需要がある限り抜け道は生まれます。
最も確実な対策は「消費者が買わないこと」。需要がなければ転売市場は成立しません。過去には「限定スニーカー」や「ゲーム機」の転売も、不買運動が話題を呼び、価格が暴落した例があります。
実際にあった“フリマアプリ転売ルール”の改定事例
メルカリやラクマといった主要フリマアプリでは、社会的な騒動やメディア報道を受け、ルールが変更されることがあります。たとえば、「マスクの高額転売」「トイレットペーパーの買い占め」問題では、出品制限や価格上限が設けられました。
ビエネッタのような食品でも、ユーザーの通報や社会的圧力により、今後同様の対応が取られる可能性があります。
まとめ:法律だけでなく、消費者の意識が鍵を握る
ビエネッタ騒動をきっかけに、食品の転売を禁止すべきだという意見が多く上がりましたが、完全な規制は現実的に困難です。むしろ、「抜け道」を用いた“箱だけ販売”のような形態が出てくるのは当然といえるでしょう。
最も効果的な対策は、消費者が冷静になり、転売品を買わない選択をすることです。法規制とモラルの両輪で、適正な取引環境を守っていくことが今後ますます求められるでしょう。