ストーカー被害により強い不安や恐怖を感じていると、「自分の身は自分で守らなければ」と思い詰め、ナイフや防衛用具を持ち歩きたくなる気持ちは理解できます。しかし、武器の所持は法律と安全の両面から慎重な対応が必要です。
銃刀法では「正当な理由なく刃物を携帯してはならない」
日本では銃刀法第22条により、「刃体の長さが6cmを超える刃物」は、たとえ小さなナイフでも正当な理由なく所持しているだけで違法となります。
「護身用」や「安心のため」という理由は法的に認められていません。実際、職務質問で所持が発覚した場合、警察に連行・逮捕されるケースも珍しくありません。
ストーカー対策として合法的な防犯手段
違法にならず、自己防衛にも使えるグッズとして、防犯ブザーや催涙スプレー(ただし航空機不可)などが挙げられます。
また、スマホアプリで位置情報をリアルタイム共有できる「まもるっく」「防犯カメラアプリ」も効果的です。
精神的な不安が強いときはどうすれば?
不眠・過呼吸・不安感などが強まっている場合、医療機関でのサポートやカウンセリングが非常に重要です。公的支援としては「配偶者暴力相談支援センター」「性暴力被害ワンストップ支援センター」も利用できます。
心のケアと実際の安全対策を並行して行うことが、長期的な安心につながります。
警察への相談と「ストーカー規制法」の活用
ストーカー行為は「つきまとい等を繰り返す行為」として、警告・禁止命令・逮捕の対象となります。警察署または生活安全課へ相談することで、加害者に対して警告を出してもらえる制度があります。
一度「相談歴」を残すことが重要です。証拠として、LINEの履歴・録音・日時メモ・動画なども有効です。
実例:護身用ナイフで逮捕されたケース
東京都内では、女性がストーカー被害に怯え、カバンに折りたたみナイフを忍ばせていたところ、駅で職務質問を受けて検挙されたケースがあります。
本人は「護身用です」と説明しましたが、正当な理由と認められず、略式起訴・罰金刑となりました。
まとめ
ストーカーによる不安感は深刻であり、「ナイフを持ちたい」と思うほど切実な問題です。しかし、日本の法律では刃物の所持は厳しく制限されており、逆に自分が処罰対象になるリスクがあります。
その代わりに、合法かつ実用的な防犯対策、そして警察や支援機関・医療機関への早期相談が、自分を守る最善策です。安心して暮らせる環境を手に入れるために、正しい手段で行動しましょう。