取引先を調べたところ、法務局や国税庁の検索で一切ヒットせず、連絡もつかない。しかも「うちは防衛庁(防衛省)の下請けだから登記されてないんです」と言われた——もしこんな状況に出くわしたら、不安になるのは当然です。この記事では、防衛省関連業者の実態と、企業としての信用を見極めるポイント、取引リスクへの対策を詳しく解説します。
防衛省の下請け業者=登記不要は本当か?
日本において、法人格を持ち事業を行う企業は、原則として法務局に登記が義務づけられています。登記されていない会社は、そもそも“会社”として法律上存在しないことになります。
防衛省の契約先は、防衛省調達本部などの公式資料で開示されており、契約を受けている企業は登記されているのが通常です。「防衛庁の下請けなので登記されていない」という説明は、法的にも制度的にも成り立ちません。
会社情報がヒットしない原因とは?
会社名や代表者名で検索しても情報が出てこない場合、いくつかの可能性が考えられます。
- 実体のない架空会社である
- 屋号(個人事業主)として活動している
- 登記上の名称と異なる通称を使用している
- 最近設立したばかりで、まだ情報が反映されていない
特に「屋号」の場合、法務局の法人登記には表示されません。また、商号や社名に類似した名称を使っているケースもあり、検索では見落とされがちです。
連絡が取れない、電話に出ない=要注意サイン
取引先が支払期日前に連絡不能となり、別番号でようやく連絡がつくというケースは、支払いを回避する意図や、そもそも信頼できない業者である可能性を示唆しています。特に法人取引では、事前に以下の点を確認するのが鉄則です。
- 登記簿謄本の写しや法人番号の提示
- 代表者氏名と所在地の確認
- 過去の取引実績(請求書・納品書など)
相手がこれらの開示を拒む場合、取引を進めるべきではありません。
防衛省との契約実績は確認できる?
防衛省の契約先情報は、「防衛省調達情報検索サイト」や「調達情報ポータル」などで公開されています。社名や所在地、契約内容などを照会することで、実際に防衛省との取引があるかを確認できます。
また、企業信用調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチなど)に依頼すれば、より詳細な情報も得られます。
取引を継続すべきかの判断基準
すでにトラブルの兆候がある場合は、以下のような対応が推奨されます。
- 契約書を見直し、未払い時の対応を明記する
- 書面での督促を行う(内容証明郵便など)
- 必要であれば弁護士や専門家に相談する
安易に“下請け”という言葉に惑わされず、事実を確認する姿勢が重要です。
まとめ:登記されていない企業との取引は慎重に
「防衛省の下請けだから特別扱い」という説明は、法的にもビジネス慣行としても不自然です。会社情報が検索で出てこない、連絡がつかないといった兆候がある場合、詐欺や踏み倒しのリスクを疑うべきです。
不明確な業者とは契約書なしの取引を避け、常に法人登記・支払い能力・実績などを確認した上で進めましょう。