交通事故に遭ったとき、被害者に怪我があると「人身事故」に、物だけが損傷した場合には「物損事故」として処理されます。事故直後は冷静な判断が難しいものですが、どちらで処理するかによって、その後の責任・処分・保険対応が大きく変わります。この記事では、交差点での接触事故を例に、人身事故か物損事故かの判断ポイントと、それぞれの影響について詳しく解説します。
人身事故と物損事故の基本的な違い
人身事故は、事故によって人が「怪我を負った」と警察に届け出るケースで、治療の有無ではなく「医師の診断書の提出」が基準になります。対して物損事故は、怪我がなく、車や建物などの物だけが損傷した場合に適用されます。
例えば軽い擦り傷であっても、診断書を提出すれば人身事故扱いとなります。このため、被害者が診断書を提出するかどうかで、物損・人身の区別が左右されます。
信号点滅交差点での事故は過失割合が争点
黄色点滅信号は「注意して進行可」、赤点滅は「一時停止義務あり」と定められています。よって、赤点滅側(バイク)には一時停止義務があるため、通常は赤点滅側に大きな過失があると判断されます。
ただし、黄色点滅側でも徐行義務があると見なされ、スピードが出過ぎていた場合は過失が問われる可能性があります。この点を警察が「人身事故扱いにするとあなたにも処分があるかも」と示唆する背景です。
ゴールド免許保持者への影響とは?
ゴールド免許は「過去5年間無事故無違反」が条件ですが、人身事故で過失があると行政処分(違反点数や反則金)が科される可能性があります。
物損事故として処理されれば、基本的には違反点数は加算されません。そのため、軽傷で被害者が物損扱いを了承している場合、多くの運転者は物損での処理を選ぶ傾向にあります。
保険会社と被害者が人身事故扱いを求めた場合
仮に被害者が「怪我がある」と主張し診断書を提出した場合、本人の意思により人身事故として警察が処理します。この場合、加害者側の意向では物損扱いにはできません。
また、治療費や慰謝料の請求が行われることになり、自賠責保険や任意保険が適用されます。過失割合に応じて保険会社間で賠償責任を調整します。
人身事故と物損事故のメリット・デメリット比較
項目 | 人身事故 | 物損事故 |
---|---|---|
警察処理 | 診断書必須、実況見分あり | 簡易な現場確認 |
違反点数 | 加算の可能性あり | 原則なし |
免許の影響 | ゴールド取り消しの恐れ | なし |
保険対応 | 人身損害賠償、慰謝料発生 | 物損のみ対応 |
事故処理で迷った場合の対応策
事故直後は動揺して判断を誤りやすいため、まずは落ち着いて次のように対応しましょう。
- 警察には必ず届け出る
- 相手の連絡先と状況を記録する(スマホ撮影も有効)
- 保険会社に即連絡し、事故の扱いを相談する
また、ゴールド免許の維持や処分軽減を希望する場合は、交通事故に詳しい弁護士へ相談するのも選択肢のひとつです。
まとめ|事故の状況と今後の影響を見極めよう
人身事故か物損事故かは、相手の怪我の有無と診断書の提出によって決まります。加害者側に大きな過失がない場合でも、人身扱いにされると処分対象となる可能性があるため、事故後の対応は慎重に行うことが重要です。
今回のような信号点滅交差点での事故は、双方の過失割合やスピードも重視されます。まずは保険会社や警察との連携を密にし、冷静に今後の対応を検討しましょう。