日常的に利用されるスーパーや商業施設の駐車場で発生する「当て逃げ」。相手がいないからとそのまま立ち去ってしまう行為は、思っている以上に重い法的責任を問われる可能性があります。この記事では、当て逃げがどのような犯罪に該当するのか、また被害に遭った場合の対処法についてわかりやすく解説します。
当て逃げは「道路交通法違反」に該当する
たとえ人身事故でなくても、物損事故である限り事故後の報告義務は法律で定められています。道路交通法第72条では、事故を起こした運転者には「警察への報告義務」と「事故現場での必要な措置義務」が課されています。
そのため、他人の車にぶつけてしまい、現場を立ち去る行為は「報告義務違反」および「事故措置義務違反」に該当し、れっきとした違法行為となります。
駐車場でも公道と同様の扱いになる場合がある
「駐車場は私有地だから道路交通法が適用されないのでは?」と考える方もいますが、スーパーやコンビニなど不特定多数の人が利用する駐車場は、「準公共の場所」として事実上公道と同様に扱われます。
よって、当て逃げが発生すれば道路交通法違反に問われ、刑事処罰や行政処分の対象となる可能性が十分にあります。
当て逃げは「器物損壊罪」にも該当する可能性がある
物に損傷を与えたまま立ち去った場合、刑法第261条の器物損壊罪が適用される可能性があります。器物損壊罪が成立すれば、「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰が科されます。
さらに、被害者から損害賠償請求がなされる民事上の責任も生じます。
実例:当て逃げ加害者が受けた処分
ある事例では、駐車場で他人の車に軽くぶつけたことに気づきながら、周囲に目撃者がいなかったために立ち去った加害者が、防犯カメラの映像により身元を特定され、道路交通法違反と器物損壊罪で書類送検されたケースがあります。
さらに、自動車保険の等級ダウンや免許停止処分など、実生活にも大きな影響を及ぼしました。
当て逃げをしてしまった場合の正しい対応
万一、他人の車にぶつけてしまった場合は、その場から逃げずに以下の対応を取りましょう。
- まずは警察に事故を報告する(110番)
- 施設の管理者に連絡を入れる
- 被害車両のナンバーや特徴を記録し、所有者が戻るまで待つ、またはメモを残す
このような誠実な対応が、後のトラブルや処罰を回避する上でも非常に重要です。
被害に遭った場合の対応方法
被害者側としては、まず警察に被害届を提出することが必要です。防犯カメラの映像提供を施設に依頼したり、周囲の目撃者を探すことも有効です。
また、任意保険に「車両保険」や「無過失事故補償」が含まれていれば、相手不明でも補償を受けられる可能性があります。事故直後には写真を撮るなど証拠を残すことも忘れずに行いましょう。
まとめ:当て逃げは重大な違法行為、誠実な対応が重要
スーパーなどの駐車場であっても、当て逃げ行為は道路交通法違反および器物損壊罪に問われる可能性がある重大な行為です。見つからないだろうと軽く考えず、事故が起きた場合は速やかに警察と管理者に報告し、誠意ある行動を取ることが最も重要です。
被害者も加害者も、正しい知識と対応を心がけることで、法的トラブルを回避することができます。