10対0の交通事故で車が廃車・保険証がない場合の通院費はどうなる?補償の範囲と対応方法を解説

交通事故の被害者になった場合、特に過失割合が「10対0」のように完全に相手に非があるケースでは、多くの補償を受けられる権利があります。しかし、現実には「古い車の全額補償」や「保険証がない状態での通院」など、制度や常識に基づいた限界も存在します。本記事ではそのようなケースに直面した際、どう考え、どう行動すべきかを詳しく解説します。

廃車になった車の全額補償は原則不可能

まず知っておきたいのは、被害車両がどんなに壊れても、保険会社から支払われる補償額は「時価額」が上限であるということです。

たとえば、20万キロ以上走行した古い車であれば、査定額は数万円~10万円程度に留まることが多く、新たに同等以上の車を買うための費用すべてを賠償請求するのは非常に困難です。「新車を買うお金を全額請求したい」というのは、現実的には通りません。

車の評価は「時価額」で決まる

自動車保険における「時価額」とは、事故発生時点での車両の市場価値を指します。走行距離、年式、修復歴、モデルなどによって査定され、一般的には中古車相場が基準になります。

20万キロ走行している車は「全損」扱いになっても補償額は限られるのが通例です。そのため、廃車後に新しい車を購入する場合は、補償金額内での購入または自己負担が必要となります。

保険証がない状態での通院費用の扱い

事故後に通院する際、健康保険証を持っていない場合、医療機関では一時的に全額自己負担(10割負担)となる可能性があります。ただし、その費用は後から相手方の自賠責保険または任意保険に請求できます。

重要なのは、領収書や診断書を必ず保存しておくことです。保険会社に必要書類を提出することで、後日精算が行われるケースが一般的です。

健康保険を使って通院した方がベター

通院時に健康保険を使用すると、自己負担額が3割で済むため、経済的にも精神的にも負担が軽減されます。保険証が未発行の場合、なるべく早く加入手続きを済ませることをおすすめします。

また、健康保険を利用した場合でも、その費用は保険会社への請求対象となります(いわゆる「健康保険併用制度」)。つまり、自己負担分も含め、最終的には相手方保険会社から補償されることが多いのです。

慰謝料や休業損害など他の補償について

車の修理費や通院費以外にも、以下のような補償が請求可能です。

  • 通院日数・期間に応じた「慰謝料」
  • 通院によって働けなかった日数分の「休業損害」
  • 交通費や付添費などの「実費負担分」

いずれも必要なのは、きちんとした証明書類の準備と、相手保険会社との冷静な交渉です。

まとめ:補償の上限と請求方法を正しく理解しよう

10対0の事故では、被害者側に広範な補償請求の権利がありますが、現実には保険会社の基準や制度の枠があります。車両の全額補償は難しくても、医療費や通院費、慰謝料、交通費などは適切に請求することで取り戻すことができます。

保険証の有無や証拠の提出は支払いに直結する要素です。手続きを怠らず、冷静に行動すれば、損を最小限に抑えることができるでしょう。

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