乃木坂46などの人気アーティストの楽曲で歌詞動画を作成し、友人や限られた範囲でシェアしたいと考える方も多いでしょう。しかし、著作権法には私的利用の範囲や著作物の使用ルールが定められており、知らずに違法行為になってしまう可能性もあります。本記事では、私的利用の定義や歌詞の扱い、実際に想定されるリスクまで詳しく解説します。
私的利用の定義とは?
著作権法第30条では、個人的に、または家庭内などこれに準ずる限られた範囲での使用に限って、著作物を無許可で使用することが許されています。これを「私的使用」と呼びます。
たとえば、自宅で音楽を聴いたり、個人的に楽しむために動画を編集する行為は通常「私的利用」にあたります。しかし、LINEで動画を送信したり、SNSの鍵アカウントで共有する行為は、必ずしも「家庭内」にとどまらないため、法的に「私的使用」に該当しない可能性があります。
歌詞全文の掲載は特に注意が必要
歌詞は「文字情報」であっても著作物として著作権で保護されています。特にJASRACが管理する楽曲の歌詞については、全文の掲載や映像化には許諾が必要です。
仮に収益化しない場合でも、著作権者の許可を得ずに歌詞をそのまま使用することは、著作権法上の「公衆送信」や「複製権」の侵害に該当する可能性があります。
鍵アカウントや友人へのシェアは私的利用か?
鍵付きのX(旧Twitter)アカウントにフォロワーが少ないとしても、その投稿は「送信可能化」とみなされ、公衆への発信と解釈される余地があります。つまり、私的利用とはみなされず、著作権侵害の対象となり得るのです。
同様に、LINEで動画を送った場合でも、「家庭内」や「これに準ずる範囲」を超えれば、著作権法の保護対象外となります。
音源のダウンロードにも注意
市販のCDやサブスクサービスから音源をダウンロードして動画に使う行為も、無断使用となれば問題となります。さらに、YouTubeから音源をダウンロードする「違法アップロード由来の音源」は、たとえ個人利用でもダウンロード自体が違法となる可能性があります。
合法的に音源を使うには、JASRACなどを通じた利用許諾や、著作権者からの直接的な許可が必要です。
著作権侵害で罰せられる可能性は?
著作権侵害は民事上の損害賠償請求や、刑事罰(最大10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)に問われる可能性があります。ただし、悪質性や拡散規模が大きい場合が優先的に摘発される傾向にあります。
とはいえ、「知らなかったから大丈夫」では済まされないケースもあるため、注意が必要です。
合法的に楽しむには?
安全に動画を作成したい場合、以下の方法があります。
- カラオケ音源など著作権フリーまたは許諾済みの音源を使用
- 歌詞を引用する場合は、引用要件(必要最小限、出典明示など)を満たす
- JASRACやNexToneなどで著作権使用申請を行う
また、YouTubeなどのプラットフォームは一部楽曲の使用が許可されている「コンテンツID」制度を導入しており、それに従えば自動で広告収益が著作権者に分配される仕組みもあります。
まとめ
乃木坂46の楽曲を使った歌詞動画を作成・共有する場合、たとえ少人数にシェアするだけでも「私的使用」を超える可能性があり、著作権侵害と判断されるリスクがあります。特に歌詞の全文使用や音源の無許可使用には注意が必要です。
安全に楽しむには、著作権法のルールを守り、合法的な範囲で創作・共有する意識が大切です。