ニュースや交通トラブルの現場でよく耳にする「人身事故」。しかし、実際にどのような状況を指し、どんな影響があるのかは意外と知られていません。この記事では、人身事故の定義から、物損事故との違い、当事者の対応まで詳しく解説します。
人身事故とは何か?その基本的な定義
人身事故とは、自動車やバイクなどによる交通事故のうち、相手に「怪我」や「死亡」といった人的な被害が生じた事故のことを指します。
たとえば、車が歩行者と接触して怪我を負わせたケース、バイクの運転者が転倒して負傷したケースなどが該当します。
物損事故との違い
物損事故は、車やガードレール、建物などの「物」だけが破損した事故を指します。けが人がいない場合に適用されます。
一方、人身事故になると、警察への「人身事故届出」が必要になり、過失割合や刑事責任・行政処分(免許点数の加算)などが発生します。
加害者が負う責任と影響
人身事故では、加害者には以下の3つの責任が生じる可能性があります。
- 刑事責任:過失運転致傷罪など
- 民事責任:損害賠償(治療費、慰謝料など)
- 行政処分:違反点数の加算、免許停止や取り消し
そのため、物損事故よりも遥かに重い対応が必要となります。
被害者側の対応と注意点
事故直後に外傷がなくても、後から痛みが出てくる場合があります。病院での診断を受け、「診断書」を警察に提出することで、人身事故として正式に届け出ることができます。
また、自動車保険や被害者救済制度を活用することで、治療費や慰謝料の請求も可能です。
人身事故として届け出た方が良いケース
以下のようなケースでは、必ず人身事故として届け出ましょう。
- 打撲や捻挫などの怪我がある
- むち打ち症の疑いがある
- 病院で診断書が発行された
物損事故のままでは保険対応や慰謝料請求が難しくなる可能性があります。
実例:見逃せない判断ミス
ある主婦は、事故直後に痛みがなく「物損事故」で処理。しかし翌日から首に激痛が走り、病院でむち打ちと診断されました。診断書をもとに警察へ相談し、人身事故へ切り替えることができたため、治療費と慰謝料を請求できました。
まとめ:人身事故の正しい理解と冷静な対応を
人身事故は、加害者にも被害者にも重大な影響を与える事案です。事故後は速やかに警察に連絡し、身体に異常がある場合は診断書を取得して適切に届け出ましょう。事故を正しく処理することが、今後の補償や責任問題を円滑にするカギとなります。