運転中に不意のアクシデントで道路設備に接触してしまった場合、たとえ損傷が軽微であっても賠償責任が発生するのかどうかは、多くのドライバーにとって気になるところです。この記事では、山道での走行中にデリネーターに擦り傷をつけてしまったケースについて、法律的・実務的な視点から丁寧に解説します。
デリネーターとは何か?その設置目的
デリネーターとは、夜間や悪天候時に道路の線形を視覚的に示すために設置される、反射材のついた細長いポール状の設備です。安全運転をサポートする重要な施設であり、主にカーブや見通しの悪い道に配置されています。
設置者は地方自治体や国土交通省で、万が一破損させた場合は、公共物損壊として賠償義務が生じる可能性があります。
擦り傷だけでも賠償対象になる?
今回のように、折れたりヒビが入ったりしていないものの、表面に擦り傷がついてしまった場合、多くの自治体では「機能低下」があると判断されると、修繕または交換費用の請求対象となる場合があります。
ただし、警察が現場で確認し「軽微で支障なし」と判断した場合は、賠償請求が行われないこともあります。実際の対応は自治体ごとの方針や損害の程度によって異なります。
賠償金額はどれくらい?
新品のデリネーター本体は種類や材質によりますが、1本あたり約3,000円~10,000円程度が一般的な価格帯です。加えて、設置費用や撤去費、作業員の人件費が加算されるため、トータルで1本あたり1~2万円前後になることがあります。
今回は警察が引き抜いたという特殊な状況も含まれるため、警察の判断によってはドライバーの責任ではないとされる可能性も十分あります。
賠償請求がある場合の対応方法
もし後日、自治体や警察から修繕費用の請求が届いた場合には、以下の点に注意してください。
- 金額の妥当性を確認する(領収書や見積書の提示を求める)
- 自動車保険(対物賠償)でカバーできるか保険会社に相談する
- 警察の現場対応や判断内容を思い出し、必要なら記録しておく
万が一、納得できない請求であれば、法テラスなどの無料法律相談窓口に相談するのも有効です。
警察が引き抜いた場合の責任は?
記事中のように「警察が車の引き上げの際に邪魔だったので引き抜いた」という状況であれば、その行為が起因して設備に損害が発生した場合、通常はドライバーではなく、警察または行政判断によるものと見なされます。
この場合、あくまで事故対応上の便宜的処置であり、運転者がその撤去行為に関与していなければ、原則的に責任を問われる可能性は低いと考えられます。
まとめ:まずは冷静に事実確認を
デリネーターの軽微な損傷であっても、法的には損害賠償対象になる場合があります。しかし、事故の状況や損傷の程度、警察の対応次第では賠償責任を問われないこともあります。
焦って自己判断するのではなく、まずは警察や保険会社に事実確認と相談を行い、適切な対応を進めることが大切です。仮に請求があっても、多くは高額にはならないケースが多いため、冷静な対処を心がけましょう。