「ちょっとしたいたずらだから」と軽く考えられがちな行為でも、法律上は暴行罪として処罰の対象となる場合があります。中でも「デコピン」などの軽微な身体への接触についても、状況次第では起訴に至ることがあります。本記事では、軽度の暴行と刑事処分の関係について、法律上の観点からわかりやすく解説します。
暴行罪の定義と適用範囲
刑法208条に定められている暴行罪は、「暴行を加えた者が、傷害に至らなかった場合」でも成立します。暴行とは「人の身体に対する不法な有形力の行使」であり、必ずしも怪我を伴う必要はありません。
たとえば、服を引っ張る・押す・叩く・つばをかける・デコピンをするなど、身体に影響を与える行為であれば、暴行罪が成立する可能性があります。
デコピンも暴行になる可能性がある
一見軽く思える「デコピン」も、相手の意思に反して強制的に行った場合、刑法上の暴行とみなされます。特に相手が嫌がっていたり、争いの中で行われた場合には、故意性が強く評価される傾向があります。
実際の判例でも、軽い接触であっても「人に対する侮辱的または威圧的な目的をもって行われた」として、暴行罪が成立するケースがあります。
起訴されるかどうかは被害届と捜査の判断による
軽微な暴行でも、被害者が被害届を提出し、警察が捜査を行えば事件化する可能性があります。ただし、実際に起訴されるかどうかは、検察官が以下のような事情を総合的に判断して決めます。
- 行為の悪質性
- 前科・前歴の有無
- 被害者の処罰感情
- 示談の有無
- 社会的影響
そのため、同じような行為でも不起訴になる場合と略式起訴され罰金刑になる場合があります。
不起訴になるケースの特徴
軽度の暴行が不起訴となる主なケースには、示談が成立している、被害者が処罰を望んでいない、初犯で反省の態度が明確、などが挙げられます。
一方で、同様の行為でも相手に精神的な苦痛や社会的影響を与えた場合などには、不起訴とならず正式起訴や略式起訴されることもあります。
示談や謝罪が重要な要素に
被害者との示談が成立すると、刑事処分に大きく影響を与える可能性があります。たとえ事件化しても、示談が成立している場合、検察官が不起訴とする例が多いです。
そのため、万が一相手とトラブルになってしまった場合は、早期の謝罪や誠実な対応が非常に重要です。
まとめ:小さな行為も法律違反となることを認識しよう
たとえ軽い接触であっても、本人の意思に反した行為であれば暴行罪が成立する可能性があります。デコピンなどの軽微な行為でも、被害届の提出や被害者感情次第で起訴の可能性は十分にあり得ます。
冗談や軽いふざけ合いのつもりであっても、相手の捉え方次第では法的責任を問われることもあるため、日常の中で節度ある行動を心がけましょう。