住宅街の角地などで、ブロック塀から枝や葉が飛び出し見通しが悪くなっている場面に出くわすことがあります。実はその状況が交通事故を引き起こし、所有者が責任を問われるケースがあるのをご存じでしょうか?本記事では、その法的根拠や過去の判例、予防策について詳しく解説します。
見通しの悪さが事故の原因になる可能性
角の交差点で塀や植栽が視界を遮る場合、歩行者や車両の発見が遅れ事故が起きやすくなります。特に小学生の通学路や自転車の多いエリアでは、ほんの数秒の見落としが大きな被害に繋がります。
たとえば、街路樹の枝が飛び出していて見えなかった歩行者を車がはねてしまったという事例もありました。このような事故では、木の所有者や管理者に一定の過失責任が問われる可能性があります。
民法上の責任「土地の工作物責任」とは?
民法第717条では「土地の工作物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたときは、その所有者が損害賠償責任を負う」とされています。
つまり、ブロック塀やその周辺の植栽が飛び出していて、それが原因で事故やけがが発生した場合、所有者または管理者に損害賠償義務が発生する可能性があります。
行政の指導・条例による対応もある
多くの自治体では、「道路に張り出した枝葉の剪定をお願いする」条例や通達を出しており、改善されない場合は行政指導が入ることもあります。
たとえば東京都練馬区では「道路の通行に支障をきたす樹木の伐採要請」が条例に明記されており、是正されなければ強制的な対応もあり得ます。地域によっては通報窓口も設けられています。
実例:飛び出した枝が原因で訴訟になったケース
ある住宅のブロック塀から道路に張り出していた植木の枝が、歩行中の高齢者の視界を遮り、接触事故につながったというケースがあります。この事案では所有者側の過失が認定され、一部損害賠償責任を負う判決が下されました。
また、マンション管理組合が道路沿いの植栽を放置し事故に繋がったとして、管理責任を問われた事例もあります。
所有者がとるべき対策とは?
• 定期的にブロック塀まわりの植木・枝を剪定する
• 視界を遮るような枝が外に張り出していないか確認する
• 苦情や通報があれば即座に対応する
また、可能であれば近隣住民や自治会と連携して、安全な景観を維持するのも有効な手段です。
トラブルになった場合の対応方法
まずは誠意ある謝罪と剪定対応が第一です。それでも損害請求などが発生した場合は、任意保険(個人賠償責任保険など)がカバーできるか確認しましょう。
状況によっては弁護士に相談し、対応方針を明確にすることが望ましいです。
まとめ
ブロック塀から飛び出した枝や葉が原因で事故を誘発した場合、民法上や行政の視点からも、所有者に責任が問われることがあります。
「うちは大丈夫」と思わず、定期的な点検と予防措置を徹底することが、事故防止にもトラブル回避にもつながります。