交通事故により長期療養が必要となった場合、仕事を休まざるを得ないことがあります。そのような中で、会社から自主退職を促されたり、治療費や労災費用の返還を求められることもあります。この記事では、事故被害者としての権利や会社との関係、今後取るべき対応をわかりやすく解説します。
■ 交通事故による長期休業と労災の適用
業務中や通勤中の事故であれば、労災保険が適用されますが、私的な交通事故の場合でも、会社側が治療のための休職を認めることは可能です。実際には労働者が休業補償を受けるために、事故相手の損害賠償や自賠責保険、あるいは被害者請求制度を利用することになります。
事故相手が「無保険・無車検・飲酒運転」であれば、被害者救済のために政府保障事業が使える可能性もあります。弁護士を立てて対応している場合は、そのアドバイスを仰ぐことが最も重要です。
■ 会社から自主退職を求められたらどうすべきか
労働契約法では、休業理由が正当であり、復職の可能性がある場合には、会社が一方的に解雇や退職を強制することは認められていません。とくに交通事故のように不可抗力の事情で休職している場合、会社側が「迷惑をかけたから退職してほしい」と求めても、それは法的根拠に乏しい圧力です。
仮に会社から「自主退職でなければ解雇する」などと強く迫られた場合は、不当解雇や退職強要に該当する可能性があり、労働基準監督署や労働組合、弁護士への相談をおすすめします。
■ 会社に「労災費用や事故対応費を返せ」と言われた場合
会社が支払った費用が労災や保険金、あるいは代位請求などによってカバーされる場合、従業員に返還義務は原則としてありません。そもそも事故に直接の責任がない被害者に対し、費用の返還を求めること自体が不当な要求と考えられます。
事故前から長期療養が必要な旨を会社に説明していたのであれば、なおさらその説明責任を果たしていたことになり、後から「予想以上に長引いた」として責任を負わせるのは無理があります。
■ 自主退職とその影響:今後の生活にどう響く?
自主退職をすると、失業保険の受給開始が遅れるほか、「会社都合退職」に比べて給付期間も短くなります。療養中であれば、障害年金や傷病手当金の活用を検討する必要があります。可能であれば、会社との交渉は書面を残しながら慎重に進めるようにしましょう。
また、自主退職に応じた後に「損害賠償の対象ではない」と言われるなどの二次被害を受けることもありますので、専門家の立会いが望ましいです。
■ 相談先やサポート機関の活用を
このようなケースでは、次のような機関に相談することをおすすめします。
- 労働基準監督署(不当解雇や労働条件問題)
- 交通事故弁護士(賠償請求・相手方対応)
- 日本年金機構(障害年金の申請)
- 社会保険労務士(労災対応、雇用保険手続き)
無料相談を実施している法律事務所も多くあるため、まずは一人で悩まずに相談することが第一歩です。
■ まとめ:自分の健康と権利を守る選択を
交通事故で大変な思いをしたうえに、職場からのプレッシャーを受けるのは精神的にも大きな負担です。しかし、法律上は被害者にも明確な保護が存在します。焦って自主退職する前に、情報を整理し、専門家に相談した上で自分にとって最善の選択をしていきましょう。