債務整理の一種である小規模個人再生手続きでは、債権者の同意が重要な判断材料となります。特に債権者が少数の場合、1社の不同意が大きな影響を与えることもあります。本記事では、債権者が2社の場合における不同意の扱いや、「過半数」や「以上」という言葉の意味を丁寧に解説します。
小規模個人再生とは何か
小規模個人再生は、主に給与所得者などが利用できる法的な債務整理手続きです。住宅ローンを除いた借金を大幅に減額し、原則として3年間で分割返済することで、残債務の免除を受けることができます。
この手続きには「再生計画案」の提出と、それに対する債権者の「不同意(反対)」の可否が手続き成立に大きく関わってきます。
再生計画案の認可要件と債権者の同意
小規模個人再生では、再生計画案が認可されるために次の2つの要件を満たす必要があります。
- 再生債権者の「過半数(人数)」が不同意していないこと
- 再生債権総額の「過半数(金額)」が不同意していないこと
この両方を満たさなければ、再生計画案は裁判所に認可されません。
「過半数」「以上」の用語の違いに注意
ここでよく混同されるのが、「過半数」と「半数以上」という表現の違いです。民事再生法では「過半数」と明記されており、これは「過半数【を超える】」ことを意味します。
つまり、「半数ちょうど」は不同意要件に該当しません。たとえば2社のうち1社が不同意だったとしても、それは過半数ではないため、要件には抵触しないという解釈になります。
債権者が2社の場合の扱い
質問のように債権者が2社で、1社が同意、1社が不同意の場合、人数要件は「過半数不同意ではない」とされ、クリアしたことになります。
次に問題になるのが金額要件です。不同意した債権者の保有している債権金額が全体の過半数を占めている場合は、金額要件を満たせず不認可となる可能性が高いです。
例えば。
- A社:100万円(同意)
- B社:150万円(不同意)
この場合、人数的には1対1で過半数に該当しませんが、債権額ベースでは150万円のB社が過半数を占めているため、不同意として再生計画案は認可されない可能性があります。
対策:再生計画提出前の債権者との調整
こうしたリスクを避けるためには、再生計画を提出する前に、債権者との交渉を行って「不同意される可能性があるか」を見極めることが大切です。
実務では、弁護士や司法書士が代理人として債権者に意向を確認することが多く、交渉の工夫次第では不同意のリスクを最小限に抑えることも可能です。
まとめ:2社なら1社不同意でも即終了ではない
小規模個人再生においては、「人数」と「金額」の両方の不同意要件を満たさなければ再生計画案は否認されません。債権者が2社の場合、1社の不同意があっても人数要件はクリアできますが、債権額に偏りがあると金額要件を満たせず、廃止される可能性があります。
正確な判断のためにも、個人再生に詳しい専門家に早めに相談することが重要です。