家庭の電気契約で「30アンペアまでしか契約できない」と電力会社に言われた経験はありませんか?特に東北電力では、一定の条件下で40アンペア以上への契約変更が制限されることがあります。本記事では、その背景にある技術的・法的な根拠や、単相3線式への切替費用、電力会社の変更の可否など、実例を交えて詳しく解説します。
単相2線式と単相3線式の違いとは?
一般的な住宅の電力契約には「単相2線式」と「単相3線式」があります。単相2線式は2本の電線を使い、最大30A程度までが限界です。これに対し単相3線式は中性線を含む3本で構成され、より多くの電力(40Aや50A、60A)に対応できます。
現在単相2線式を使用している場合、40A以上に契約変更するには、電柱からの引き込み線や分電盤の改修を伴う単相3線式への変更工事が必要です。これが約14万~20万円かかることもあります。
東北電力が30A以上に応じない理由
東北電力では、建物が単相2線式のままでは技術的な安全基準により30A以上の契約を受け付けない方針があります。これは「電気設備技術基準(電気事業法 第42条など)」に基づく制限で、供給設備の過負荷や火災のリスクを防ぐためです。
特に古い住宅や配線容量が小さい場合には、分電盤のブレーカーや内部配線の許容電流を超えるリスクがあり、契約容量を無理に引き上げることができません。
他社に乗り換えれば40A以上にできる?
電力自由化により、契約先の電力会社は自由に選べますが、引込線や屋内配線といった電気のインフラ部分は地域の送配電会社(この場合は東北電力ネットワーク)が管理しており、契約容量の判断も同社の基準に従う必要があります。
つまり、契約先を東京ガスやソフトバンクでんきなどに切り替えても、送電設備が東北電力ネットワークのままである限り、30A以上への契約変更には制限が残るということです。
容量不足の解消策と費用の目安
ブレーカーがよく落ちる、電化製品を増やしたいなどの理由で容量不足を感じる場合は、やはり単相3線式への切り替え工事が基本的な対応策となります。この工事では、電力メーター・分電盤・電柱からの引込線などを改修する必要があります。
費用は地域や住宅の状況によって異なりますが、14万~20万円程度が相場です。なお、条件によっては自治体のリフォーム助成金制度が利用できる場合もありますので、調べてみる価値があります。
東北電力への相談時のポイント
30A以上への契約変更を希望する際は、「単相3線式への切り替えが必要であること」と「その工事費は利用者負担であること」を理解したうえで、地元の電気工事店または東北電力に相談するのがスムーズです。
また、東北電力から「法的根拠がある」と言われた場合には、「電気事業法」または「電気設備技術基準」の条文を明確に尋ねることで、より具体的な対応ができるようになります。
まとめ:設備の制限を理解して賢く対処を
単相2線式契約で30A以上にできない理由は、設備上の安全基準や電気事業法による制限にあります。他社に切り替えても送電インフラの制約は変わらないため、実質的な解決には単相3線式への変更工事が必要です。
使用電力に不便を感じているなら、工事費用と今後の使用量を比較検討し、信頼できる電気工事業者に相談するのが良いでしょう。