エコバッグの普及に伴い、悪用を前提とした“万引きもどき”行為や、店側が不当に疑われる名誉毀損リスクが注目を集めています。本記事では、エコバッグを使ったトラブルの実態と、法律面での解釈、そして現場での対策を解説します。
■ エコバッグ万引き“もどき”とは?
エコバッグ万引き“もどき”とは、実際に商品を盗まなくても、エコバッグに商品を入れる動作だけを行い、万引きのように見せかけて、店側の警備員(万引きGメン)を誤認させる行為です。
これは本来の万引きとは異なりますが、店側が疑いをかけたことで名誉毀損や不当対応と主張され、トラブルに発展する恐れがあります。
■ 名誉毀損が成立する条件
名誉毀損罪は「公然と事実を摘示し、他人の社会的評価を低下させる行為」とされます。つまり、警備員が1対1で指摘しただけでは成立しない可能性が高いです。
ただし、店内放送や他の客が明らかにいる状況で不正を声に出して指摘した場合には、名誉毀損の成立が否定できません。駐車場など不特定多数の視線がある空間では“公然性”が認められやすく、注意が必要です。
■ 店側が訴えられるリスク
実際に商品を盗んでいなかった場合、被害者が「不当に疑われた」として慰謝料請求に踏み切ることがあります。
・例:レジ前で精算後、Gメンに呼び止められ、カバンの中身を確認された。
・結果:商品はすべてレシートに記載、警備側が誤認だった。
この場合、対応の方法や言葉遣いによっては不法行為とされる可能性もあります。
■ 防止のために店舗側ができること
- セルフレジや有人レジに関係なく、会計前にエコバッグへ商品を入れないよう表示
- ポスター・音声・貼り紙などで顧客に明確に通知
- レジでカゴ入れ替え時にスタッフが声がけ・確認
- 万引きGメンの教育を徹底(疑い→即指摘ではなく観察→確認→声かけ)
店側の過失がないよう、第三者にも配慮した手順で声をかける体制づくりが大切です。
■ 実質的な対策がない?という疑問について
完全な抑止は難しいものの、「エコバッグへの商品移動は精算後に」などのルールを徹底し、案内を強化することで店と客双方の誤解を防ぐことが可能です。
特に、映像記録(防犯カメラ)や目撃証言の収集は誤認トラブルへの強力な対策となります。
■ まとめ
エコバッグ万引き“もどき”は、実際の万引きと区別がつきづらく、対応を誤れば名誉毀損に発展する可能性もあります。法的な成立要件を理解したうえで、店舗ごとに明確な運用ルールや教育、そして証拠保全体制を整備することが今後ますます重要です。